12 各論7:呼吸(中枢・精神):④睡眠薬(2)
「短期」睡眠薬の例として、エチゾラム(デパス)のご紹介。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060755
こちらも飲んだことのある人はいそうですね。
禁忌や妊娠・妊娠可能性のある人や授乳中の人、
小児に対する扱いはトリアゾラムと同じです。
トリアゾラムの原則禁忌だった呼吸機能の低下がある人は、
慎重投与対象に含まれています。
他の慎重投与対象は肝臓や腎臓に障害のある人、高齢者、小児、
衰弱している人や脳に器質的障害のある人ですよ。
これらは薬物の一連の代謝や、
呼吸抑制が起こったら大変なことになりそうな人たちです。
小児は慎重投与対象内ですが、安全性は未確立ですからね。
併用注意には本剤の効果が強く出る
中枢抑制薬、MAO阻害薬、アルコールに加えて
フルボキサミンマレイン酸塩の名前が上がっています。
これは選択的セロトニン再取り込み阻害薬
(SSRI)と呼ばれる精神の薬。
もう少し先のおはなしの主役です。
「長期」の例としては
フルラゼパム塩酸塩(ダルメート)を紹介しましょう。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048427
妊娠・妊娠可能性のある人や授乳中の人、小児への取り扱いは
他の睡眠薬と共通しています。
でも、禁忌がちょっと増えますよ。
緑内障と重症筋無力症が含まれるのは、もう大丈夫ですね。
本剤に対するアレルギーのある人も禁忌ですが…
アレルギー対象に「ベンゾジアゼピン系の薬」も含まれていますね。
ベンゾジアゼピン系の薬は、
リラックスモードに関係するGABAを増強する働きのある精神の薬。
「短期」のエチゾラムのところで出てきた
フルボキサミンマレイン酸塩同様、
もう少し先の主役になるお薬です。
あと、抗ウイルス薬(抗HIV薬)のリトナビルも
同じ酵素を使うため、
過度の呼吸抑制が起こる可能性があります。
だからトリアゾラムと同様に禁忌ですね。
原則禁忌はぜんそくや肺気腫のように
呼吸機能が高度に低下している人。
呼吸抑制のせいでCO₂ナルコーシスが起こりやすいからですね。
慎重投与対象は心臓・肝臓・腎臓の障害がある人と高齢者や小児。
併用注意はフルラゼパム塩酸塩の効果を高めてしまう
中枢抑制薬、MAO阻害薬、アルコール、鎮痛剤。
あとはH2受容体に拮抗する
消化管潰瘍薬のシメチジンもここに含まれてきます。
麻酔と睡眠薬のおはなしは、これで一段落です。
【今回の内容が関係するところ】(以下20231130更新)