12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑤てんかんの薬(1)
前回までで麻酔と睡眠薬のおはなしが終わりましたが。
落ち着いて振り返ってみると、
「中枢抑制薬」や「MAO阻害薬」といった単語が繰り返し出てきましたね。
それらは主に中枢(特に脳)に効く薬で、精神分野で使われる薬でもあります。
ここから先は、中枢ブロックの中でも脳と精神に効く薬のおはなしになります。
薬の紹介の順番は、まずは神経細胞の過度興奮(てんかん)に効く薬から。
次は神経細胞間の情報伝達物質と関係の深いパーキンソン病に効く薬。
それから統合失調症に効く薬
(メジャートランキライザー、マイナートランキライザー)。
うつや双極性障害に効く薬はその後になりますね。
他の本とは、かなり紹介順序が異なるはず。
でも脳や精神の働きは「個々の神経細胞の活動の集合体」であることを意識するには、
この方が紹介しやすい運びなのです。
「分かりやすいところから理解していく」。
これがとらえにくい脳や精神の働きを勉強していくときのコツですよ!
脳や精神の働き理解、スタートは「てんかん」に効く薬です。
私たちの脳や精神の働きは、神経細胞の働きの集合体です。
神経細胞は特徴的な形をしていましたね。
核のある細胞体があって、細い軸索の部分があって、
隣の細胞に徐由豊を伝えるための終末(末端部)がありました。
1つの細胞の中は、電気で情報を伝えています。
情報が漏れないように、周りが感電しないように。
グリア細胞が取り囲む理由も解剖生理学で説明しましたよ。
そんな神経細胞が過度の興奮状態に陥って、
不要な筋収縮情報が出たせいで体がこわばる…これが「てんかん」です。
てんかんには部分的なものと全身に起こるものがあります。
部分性てんかんに使う薬として、クロナゼパム(リボトリール)をご紹介。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051573
GABA(γ-アミノ酪酸)の受容体を刺激する、ベンゾジアゼピン系の薬です。
GABAはリラックス担当なので、
その受容体を刺激するということはリラックス効果を強める方向。
ベンゾジアゼピン系に対するアレルギーは、
「長期」睡眠薬のフルラゼパム塩酸塩の禁忌に入っていましたね。
次回はクロナゼパムの禁忌からおはなししますよ。