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12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑥パーキンソン病の薬(6)

2024年1月28日

今までパーキンソン病を

「ドーパミン不足」の側面から見てきました。

実は、パーキンソン病では

アセチルコリンが増えていることが分かっています。

この増えすぎたアセチルコリンが悪さをしている可能性がありますね。

だからアセチルコリンの受容体を邪魔する薬も、

パーキンソン病の薬です。

ここでは、トリヘキシフェニジル塩酸塩を紹介しますね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065591

禁忌は本剤アレルギー、緑内障と重症筋無力症。

抗コリン剤の禁忌、代表格ですね。

 

妊娠・妊娠可能性のある人や授乳中の人、

小児に対する安全性は未確立です。

 

慎重投与対象は肝臓や腎臓に障害のある人、高齢者。

不整脈がある人や高血圧の人、

前立腺肥大や胃腸管閉塞疾患の人は、

抗コリン作用で悪化してしまいますね。

精神系の副作用が出やすいので、

動脈硬化症やパーキンソン病の人も慎重投与対象です。

脱水や栄養不良等の疲弊・高温環境下では

悪性症候群が出やすくなりますので、要注意ですよ!

 

併用注意薬は抗パーキンソン薬、抗コリン薬、中枢抑制薬。

抗コリン剤は麻痺性のイレウスを起こしやすくなりますね。

抗パーキンソン薬は神経系の副作用が増強されやすいからで、

中枢抑制薬は

トリヘキシフェニジル塩酸塩の働きが増強されやすいからですね。

 

パーキンソン病に効く薬のおはなしをしてきましたが…。

途中で飛ばしてしまったところがあります。

不随意運動(ジスキネジア)のところです。

不随意運動は中枢・精神に効く薬を使うと、

かなりの確率で出てきます。

しかも聞きなれない言葉が多く、混乱しやすいところです。

簡単に整理しておきましょう。

 

不随意運動とは、文字の通り意識的(随意的)ではない運動のこと。

動かそうと思わないのに、勝手に出てきてしまう動きのことです。

周囲から見て「何あれ?変なの…」と思われるだけでなく、

本人も「思ったように動けない…」と困っていることが多いですよ。

 

多種多様な不随意運動を全部まとめて、「ジスキネジア」と呼びます。

日常起こりうる不随意運動が

「ミオクローヌス」や「筋けいれん(ミオキミア)」。

ミオクローヌスは急に起こる、素早い、中枢神経由来の不随意運動。

寝入りばなに手足がピクッ!と動くのはミオクローヌス。

しゃっくりも横隔膜のミオクローヌスです。

筋けいれんは、

末梢神経の異常興奮による筋肉の異常収縮で痛みがあるもの。

「足がつった!(こむら返り)」が代表ですね。

痛みのない筋けいれんが「攣縮(スパズム)」。

代表は低カルシウム血症で出るテタニーです。

顔担当の末梢神経(顔面神経)異常興奮は「顔面けいれん」ですよ。

 

次回は普段体験する機会の少ない不随意運動のおはなしです。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20240128更新)