12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑧うつ・双極性障害の薬(8)
以上、セロトニンに注目した「うつ」の薬を確認してきました。
「うつ」に深く関係しているのは、セロトニンだけではありません。
もう1つの不足している神経伝達物質、
ノルアドレナリンを補足する「うつ」に効く薬もありました。
代表はメチルフェニデート塩酸塩(リタリン)ですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066878
ですが、現在はうつ病の薬としては使われません。
興奮効果と覚醒効果から、
複数医療機関から処方を得て
乱用・依存する人が問題になったためです。
それに加えて、抗うつ薬として
選択的セロトニン受容体阻害薬等も使われ始めたころだったため、
メチルフェニデート塩酸塩は「うつ」の薬からは外されたのです。
現在メチルフェニデート塩酸塩はナルコレプシーの薬として使われます。
成分を徐々に放出する徐放性製剤としては、
多動性障害に使われることもありますよ。
双極性障害の「そう」状態に効く薬、
炭酸リチウム(リーマス)のおはなしに入ります。
「そう病」にも双極性障害の「そう状態」にも使われますが、
いまだ作用機序が完全解明されてない薬の1つです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048293
禁忌は妊娠・妊娠可能性のある人。
「投与しない」とはっきりと書いてあります。
乳汁にも移行するため、授乳は中止。
なお、小児への安全性も未確立ですよ。
重い心疾患のある人や腎障害のある人も禁忌。
双方に関係する「水分異常」のある人も、禁忌に含まれてきます。
具体的には衰弱・脱水している人。
発熱、発汗、下痢を伴う疾患のある人。
食塩制限のかかっている人と、
リチウムが体内貯留しやすい人ですね。
「食塩?」と思った人は、
ナトリウムイオンと水が仲良しだということを思い出してください。
後はてんかん等の脳波異常のある人も禁忌対象です。
慎重投与対象も、禁忌から考えれば自然なものばかり。
肝障害や腎障害の既往歴ある人、高齢者。
心臓の既往歴のある人や、食事・水分摂取不足の人。
甲状腺機能異常(亢進症と低下症双方)の人も含まれていますね。
そしてリチウムに異常な感受性を示したり、
リチウムの体内貯留を起こす恐れのある人も慎重投与対象です。
併用注意薬のキーワードは
「セロトニン症候群」と「リチウム中毒」。
次回、併用注意薬を確認して薬理学の総まとめですね!
【今回の内容が関係するところ】(以下20240425更新)