8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(2:下痢と便秘3)

補足は一段落。

ロペラミドの禁忌を確認です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051670

出血性大腸炎と抗生物質による偽膜性大腸炎に使うと、

症状悪化や治療延長を起こすため禁忌です。

 

偽膜性大腸炎の原因は「抗生物質投与」。

薬のせいで腸内細菌叢が変化してしまい、

普段なら増殖しない菌(クロストリジウム・ディフィシル)が異常増殖してしまいます。

この菌が増えているところは、

円形の膜(偽膜)が張ったように見えるので、「偽膜性大腸炎」です。

このときに下痢を止めるためには、抗生物質(抗菌剤)を止めること。

腸の働きを止めてしまうと、

増えた菌が体の中にいる時間が長引いて、

その分菌の毒素ダメージを受け続けることになります。

 

また、低出生体重児や新生児、6か月以内の乳児に対してもロペラミドは禁忌。

これは薬や毒が脳に入り込まないようにする

「血液脳関門」がまだ完成していないからですね。

血液脳関門がない(不十分な)せいで、

呼吸抑制や昏睡、全身けいれんが起こる可能性があります。

 

原則禁忌は感染性下痢、潰瘍性大腸炎、6か月から2歳未満の乳幼児です。

これも「下痢の自浄作用を邪魔してしまう」、

「血液脳関門が不十分」だからですね。

 

ちょっと補足しますよ。

2歳未満の乳幼児にロペラミドを使うと、

呼吸抑制や中枢神経障害の他に、

腸管壊死につながりうるレベルの麻痺性イレウスが起こることがあります。

麻痺性イレウスについてのおはなしは、小腸のところでしましたからね。

 

これまた以前おはなしした潰瘍性大腸炎でも、下痢が起こります。

でも、そこで腸蠕動を抑制してしまうと、

中毒性巨大結腸を引き起こす危険性があります。

巨大結腸というのは、大腸が異常なほど広がって

(弛緩して)しまい、便がたまって排便困難になるもの。

先天性のものも、後天性のものもあります。

ここでは薬(ロペラミド)による後天性中毒症による巨大結腸です。

先天性の巨大結腸といえば、代表はヒルシュスプルング病。

アウエルバッハ神経叢(又は粘膜担当のマイスナー神経叢)がない(又は不完全)ため、

結腸(大腸)が収縮してくれないものです。

小児の腹部膨満や便秘の原因として有名なものですから、

「ヒルシュスプルング病」と

「アウエルバッハ神経叢(可能ならマイスナー神経叢も)」を

セットで頭の中に入れておいてくださいね。

 

補足を終了して併用注意を見ていくと…

タンニン酸アルブミンとケイ酸アルミニウムがあります。

ケイ酸アルミニウムは、毒素を吸着してくれるお薬でしたね。

残念ながら薬も吸着してしまうので、

一緒に飲むとロペラミドの吸収が悪くなってしまいますよ。

タンニン酸アルブミンは、

「アルブミン」の名前から血漿タンパク質の働きを思い出しましょう。

アルブミンにくっついていたら、薬として効果が出ませんよ。