6 各論1:脈・血圧(心臓):心筋梗塞・狭心症(2)血管拡張薬(4)
β1選択性はなく、
β受容体ならばどちらでも遮断する薬が
プロプラノロール塩酸塩(インデラル)です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062639
心筋の収縮を穏やかにします(β1受容体遮断)ので、
血圧は下がりますが…。
β2も見境なく遮断(ブロック)してしまいます。
だからα1選択遮断薬の禁忌に加えて、
気管支喘息・気管支けいれんの恐れある人にも禁忌です。
β2ブロックのせいで、気管支が狭まるせいですね。
副作用として
呼吸困難や喘鳴(ぜいめい)が出ることもありますよ。
喘鳴というとイメージしにくいかもしれませんが、
息苦しいときの
「ひゅーひゅー」「ゼーゼー」だと言い換えれば
どんな状況か分かりますよね。
あと、相互作用が出ると分かっている薬と一緒のときには
注意が必要です。
分解酵素が同じタガメット(「ガスター」と名が付くもの)と
一緒に飲むと、
インデラルが強く効きすぎる可能性があります。
薬ではありませんが、
タバコはインデラルの効きを弱めてしまいますよ。
禁忌になる薬は、片頭痛薬の一部と
向精神薬
(精神活動に何らかの薬の影響を与える薬の総称)の一部です。
…狭心症のお薬として忘れてはいけないのが
ニトログリセリン(ミリスロール)に代表される硝酸薬ですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059026
初回通過効果を避けたいので
舌下錠で吸収するおはなしをした薬です。
硝酸薬も、末梢血管を広げる薬。
その働きは、
もう少し先でおはなしする強心薬とも関係が深いですよ。
先程カルシウム拮抗薬のところで
細胞膜電位について復習できましたね。
ここでは、
筋収縮とアクチン・ミオシンについて復習しましょう。
筋肉が動く(筋収縮できる)のは、
アクチンタンパクとミオシンタンパクがあるから。
アクチンタンパクのしめ縄上の溝に、
ミオシンタンパクの2つある頭部がはまりこんで、
ねじり込むように動きます。
この「ねじ込む」うごきがアクチンの上を滑走している…
ということで「滑走説(滑り込み説)」と呼ばれますね。
じゃあ、この「動き」は何によるものかというと。
筋肉細胞の中にある小胞体(筋小胞体)の中に詰まっている
カルシウムイオンのせいです。
電気刺激(収縮命令)が来ると、
筋小胞体からカルシウムイオンが放出されます。
カルシウムイオンを受け取ったミオシンの頭が動いて、
筋節
(向かい合った1列のアクチンの端から端:Z膜間ともいう)
距離が縮まります。
これが筋収縮。
電気刺激(収縮命令)が来なくなると、
カルシウムイオンは能動輸送で筋小胞体へと回収されて、
アクチンとミオシンはもとの位置に戻ります。
これが筋弛緩ですね。
だから同じ電気刺激が来たとき、
細胞(の筋小胞体)の中にカルシウムイオンが増えれば、
しっかりと収縮できることになります。
硝酸薬は、細胞内のカルシウムイオンを減らすので、
収縮の度合いが弱まる(筋収縮が弱くなる)ことで、
血管拡張+心筋収縮緩和の結果…血圧が下がるのです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221214更新)