8 各論3:体温(消化器系):肝胆膵(3)肝臓・代謝異常(2:高脂血症2)
「脂質が一度吸収されたらおしまい…」
なんてことはありませんね。
体内の脂質が
コレステロールにならないようにするお薬が
プラバスタチンナトリウム(メバロチン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047960
脂質をコレステロールに変える
(誘導脂質に「へんし~ん!」させる)酵素を邪魔する薬です。
家族性高コレステロール血症にも効きますが、
妊婦・妊娠可能性のある人と授乳中の人には禁忌です。
これは同じ酵素に効く薬で動物実験の結果、
胎児生存率減少・骨格奇形が報告されているため。
乳汁移行も報告されていますね。
また、コレステロールが作られた後でも
胆汁酸の形にしてしまえば血中脂質は増えません。
それがプロブコール(シンレスタール)のお仕事。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056264
ただ、こちらも妊婦・妊娠可能性のある人、授乳中の人には禁忌。
さらに重篤な不整脈のある人でも禁忌です。
コレステロールだけに注目してきましたが、
血中脂質は他にもありますよね。
例えば、中性脂肪
(TG:トリアシルグリセロール)も立派な血中脂質です。
念のため注意。
血液検査をすると脂質の区分には
「中性脂肪」と「コレステロール」の他に
「LDL」と「HDL」もありますね。
場合によっては、
これらを全部まとめて「総脂質」とすることもあります。
LDLとHDLは、脂質を運ぶ(運び屋)リポタンパク球。
生化学では、4種類のリポタンパク球の大きさと名前、
運ぶ物についてもおはなししましたよ。
よく「LDLを減らしましょう」、
「HDLを増やしましょう」と耳にしますが、
運び屋さんの増減は結果でしかありません。
細胞からコレステロールを肝臓に持ち帰る必要性が増えれば、
肝臓の作るHDLが増えます。
肝臓から細胞へとコレステロールを運ぶ必要性が増えれば、
肝臓の作るLDLが増えます。
運び屋さんの名前と運ぶ物、運ぶ方向の対応は確かに重要です。
だけど運び屋だけに注目してしまうと、
体の中で起きていることがよくわからなくなってしまいます。
少なくともここを呼んでいるみなさんは、
血中脂質のデータを見るときに勘違いしないでくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230203更新)