8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(1:潰瘍性大腸炎とクローン病1)
大腸の働きは水分を吸収することと、
食べ物の残りかすを体の外に出すことです。
水分の吸収が多すぎると、便が硬くなりすぎて
体の外に出しにくい便秘になってしまいます。
逆に水分の吸収が少なすぎると、
便が形にならずに体の外に出ていく下痢ですね。
正常な便では約1/3は水分。
残りは約1/3が食べ物の残りかすで、
約1/3は腸内細菌の死骸ですよ。
大腸が変になってしまう病気として、
潰瘍性大腸炎とクローン病をおはなししましょう。
潰瘍性大腸炎は、
その名の通り大腸に潰瘍ができてしまう病気。
クローン病は大腸に炎症ができる病気ですが、
炎症のできる場所は消化管全体。
大腸に限定されないところがポイントですね。
どちらも栄養状態が悪くなると症状がひどくなるので、
栄養管理をしっかりと。
場合によっては、
経管栄養や中心静脈栄養(IVH)のお世話になりそうですね。
潰瘍性大腸炎にもクローン病にも効くお薬がメサラジン。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060540
白血球の仲間を呼ぶシグナル、
ロイコトリエンの働きを抑えるなど
炎症をおとなしくさせる薬です。
禁忌は重い肝障害や腎障害のある人。
これは薬の代謝で、
肝臓や腎臓の働きをさらに悪化させる恐れがあるからですね。
そしてサリチル酸エステル
又はサリチル酸塩類に過敏症のある人。
これらは抗炎症薬ですが、
これらにアレルギーを起こすと
メサラジンにもアレルギー反応が出る
「交叉アレルギー」が出る恐れがあるからです。
潰瘍の始まりでもある炎症を抑えたいのはやまやまですが、
一緒に使う薬にはちょっと注意が必要そうです。
また、併用注意のところに利尿剤とステロイド剤があります。
理由は尿量やナトリウム、カリウム、塩化物イオン等が
必要以上に体の外に出ていってしまう恐れがあるから。
ステロイド剤も、抗炎症目的で使いたい薬の1つです。
でも、使うときにはしっかりと水分量、
血液中ミネラル(イオン)濃度を確認しないと、
今度は循環系がおかしくなってしまいますよ!
次回はクローン病に効くインフリキシマブのおはなしです。
禁忌と警告が多い薬ですからね!
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)