8 各論3:体温(消化器系):口から十二指腸(2)食道・胃・十二指腸(3)
もう1つの受容体阻害剤が、H2受容体阻害剤。
これは「ヒスタミンがはまるところ」を邪魔するお薬で、
ファモチジン(ガスター)が有名ですね。
ヒスタミンの働く場所は、結構たくさんありますよ。
Ⅰ型アレルギーの
放水車(鼻水や涙を出させる)はもちろん、
脳幹部(中脳・橋・延髄)では
神経伝達物質としても働いています。
脳幹部が各種反射中枢ということは、
解剖生理学でおはなししましたね。
反射中枢の1つの命令(情報)
「食べ物が入ってきたから、胃酸を出させる」を
伝えるのが、ヒスタミンです。
ヒスタミン受容体も4種類あります。
炎症やアレルギー反応・中枢で働くのはH1型。
胃酸分泌に関係(分泌腺)するのがH2型です。
だからH2受容体をブロックするファモチジン(ガスター)は、
胃酸を抑えるお薬なのですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049374
禁忌ではありませんが、
併用注意のところに
抗真菌薬イトラコナゾールの名前があります。
真菌に効くということは、
「水虫」などのお薬ですね。
理由はイトラコナゾールのpH依存溶解性。
前回のプロトンポンプ阻害薬のオメプラゾールと、
抗HIV薬アタザナビルと同じ関係性です。
あとは、使用上注意は腎機能低下中の人。
「排泄(E)がうまくいかないとき」のおはなしそのものです。
以上が、胃酸分泌を抑制するお薬のおはなし。
もし潰瘍を起こして困っているのが胃だけなら、
胃粘膜を補強してあげるのも解決策の1つです。
粘液分泌促進に働くテプレノン。
粘液分泌と胃酸抑制の両方をしてくれるのが
ミソプロストール(サイトテック)等の
プロスタグランジン製剤。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00047308
潰瘍になってしまったところにくっついて
傷を酸の刺激から守る
スクラルファート(アルサルミン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059377
潰瘍部の細胞を修復するために粘膜血流を増やす
セトラキサートもここに含まれますね。
注意点を補足しますよ。
ミソプロストールに代表されるプロスタグランジン製剤は、
妊娠中や妊娠可能性のある人は禁忌です。
プロスタグランジンの子宮収縮作用のせいで、
流産や子宮出血があったと報告されています。
また、スクラルファートは人工透析中には禁忌です。
これは薬のアルミニウムイオンが
透析膜に悪さをしてしまうから。
併用注意のお薬もそれなりにありますので、
ちゃんと添付文書を読んでくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230109更新)