9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(1)
内分泌系の3つ目、「副腎・性腺」パートです。
位置は少々下になりますが、
前回までの話と関係の深い「性腺」から始めますよ。
性腺から出るホルモンを補充するとき、
「命令する立場のホルモン」補充をすることもあります。
それについては「頭部パート」でおはなしした通り。
視床下部や下垂体に原因があったとき、でしたね。
直接性(腺)ホルモンを補充するときには
「不妊」と「悪性腫瘍(がん)」に関係することが多いですよ。
女性ホルモンの黄体ホルモンを補充するお薬が、
ジドロゲステロン(デュファストン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056266
補充対象は月経周期異常、月経困難症、
機能性子宮出血、子宮内膜症のような月経に関する不具合。
あと、黄体機能不全による不妊症をはじめ、
習慣性流早産や切迫性流早産にも使われます。
黄体ホルモンを補うことで、
受精卵が着床しやすい環境を作り、維持していくのですね。
禁忌は、重い肝障害のある人です。
男性ホルモンを補充する薬が
テストステロンエナント酸エステル(テスチノン)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00055304
補充対象は性腺機能不全や造精機能障害による不妊。
他にも再生不良性貧血、腎性貧血、
骨髄繊維症にも使われるお薬です。
腎性貧血は、
腎臓から出るエリスロポエチン不足のせいで
赤血球が成熟できないために起こる貧血。
再生不良性貧血は、
骨髄での細胞分裂がうまくできないため
血球全体が不足してしまう貧血です。
再生不良性貧血のときには、
細胞分裂を促す「造血因子」の刺激が必要です。
代表的な造血因子は腎臓由来のエリスロポエチン。
そして男性ホルモンは
エリスロポエチン産生を促進させる働きがあります。
だから男性ホルモン補充は腎性貧血にも、
再生不良性貧血にも使われるのです。
男性の方が赤血球数が多い理由も、
分かってもらえるはずです。
骨髄繊維症というのは、血球のうち
白血球や血小板ばかりが作られるようになったもの。
そのせいで骨髄がスポンジ状ではなく
硬く(繊維状)になり、
やがて血球を作れなくなってしまいます。
スタートは、赤血球ができなくなったせいで起こる貧血。
だからエリスロポエチンが必要で、
男性ホルモン補充の意味があるのですね。
禁忌と併用注意については、次回おはなししましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)