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2 「健康」とは:(3)「ヒトとして生きる」ために[補足5]

2019年11月20日

「運動をするとストレス解消になる」といいますね。

これ、どうしてかちょっと確認してみましょうか。

 

厚生労働省のメンタルヘルスガイドラインによると

「体を動かすことで心身がリラックスし、気分発散になり、

睡眠リズムが整う」と書いてあります。

(厚生労働省:メンタルヘルスガイドライン)

この「睡眠」こそが大事なポイントです。

 

ストレッサーに対する反応は交感神経系の担当。

睡眠は副交感神経系の担当です。

運動で体を動かし、適度な疲労が生じるとよく眠れるようになります。

「よく眠れる」イコール、副交感神経系優位モードに入っているということです。

 

この間、消化器系以外は休息をとり、

消化器系は栄養吸収と必要物の合成に全力モード。

栄養をちゃんと取ってよく眠れていれば、

起きたときには交感神経系優位状態で消費されたグルコースや、

神経伝達物質、ホルモン等の再充填完了!

これなら、次のストレッサーが来ても対応できそうですね。

 

また、運動によって神経伝達物質セロトニンの合成量が増えます。

これは感情や記憶に関係が深く、

「おちつき」を生じさせる神経伝達物質です。

(スポーツ庁ホームページ)

 

「運動前はイライラしていたけど…なんかすっきりしたかも!」

これは「セロトニンが増えましたよ!」というサイン。

セロトニンは夜になると睡眠を促すメラトニンに変わりますから、

副交感神経系優位下の各種再充填にもバッチリですね。

 

他にもマウスを運動させたときにGABA(γ‐アミノ酪酸)が

多く出ることも分かっています。

これもリラックスに関係が深い神経伝達物質。

リラックスすれば…副交感神経系優位モードに入ります。

 

このように、

運動することで多方向から副交感神経系優位モードに入りやすくなります。

副交感神経系優位モードはリラックスモード。

ストレッサーのうち内的刺激を受けにくい状態になっていますね。

 

またストレッサー自体に変化はなくとも、認知的評価が変化したり、

ストレス反応の抵抗性(抵抗力)が上がったりする可能性があります。

 

その結果、同じ刺激があったとしても

「ストレス反応が出ない(ストレスと感じない)」、

「ストレス反応によってうまく処理できた(ストレスの克服)」等が起こりえます。

これがいわゆる「ストレスに強い」状態です。

 

運動以外にもストレス(ストレッサー)に強くなる効果を持つものはありますが…

前回の補足でも確認したように、

各種疾病予防にもつながる運動の効果をぜひ見直してみてくださいね。