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10 各論5:体温(感染・免疫):②細菌に効く薬(2)

2023年5月3日

抗生物質改良後のおはなし。

殺菌系のもう1つアミノグリコシド系と静菌系の

「セントラルドグマを邪魔する薬」の誕生です。

 

アミノグリコシド系抗生物質は、

セントラルドグマ(とタンパク質)の復習にぴったりです。

セントラルドグマにはキーワードがありました。

DNAをもとにDNAをコピーする「複製」、

DNAをもとにRNAをコピーする「転写」、

mRNAの情報をもとに

アミノ酸をつなげてタンパク質を作る「翻訳」でしたね。

DNAに記録してあった遺伝情報通りにアミノ酸をつなげれば、

作りたいタンパク質の1次構造が完成。

あとは立体化していけば望む働きの

タンパク質(膜タンパク質や酵素など…)が作れるはずです。

 

アミノグリコシド系抗生物質は、

mRNAの情報とは違うアミノ酸をつなげてしまう働きがあります。

タンパク質の1次構造が変われば、

立体構造が変わり、働きも変わってしまいます。

これについては生化学の鎌状赤血球症で確認済みですね。

望む働きのタンパク質ができないと、

細胞は生きることも増えることも難しくなります。

その結果細菌が死んでしまうのが、

アミノグリコシド系抗生物質です。

 

アミノグリコシド系抗生物質として、

ゲンタマイシン(ゲンタシン)を紹介しますね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00056372

細菌にはよく効きますが…選択毒性はありません。

ヒトの細胞にも効いてしまいます。

 

要注意地点は腎臓と第8脳神経領域。

ゲンタマイシンが代謝されてできたものは、腎臓にとって毒物。

尿細管の働きが邪魔されて、急性腎不全を起こす危険性があります。

第8脳神経(内耳神経)の担当は聴覚と平衡覚。

どちらも耳の中にある細い毛(有毛細胞)が働いているところですが、

ゲンタマイシンはそこにも悪影響!

難聴や音階変化は薬中止後も残ってしまう危険があります。

 

禁忌にあるバシトラシンは、

抗生物質の一種(βラクタム系抗生物質)ですね。

 

「もう少し細菌への効きは弱くてもいいから

ヒトへの悪影響を少なくできないかな…?」

これが、静菌系の抗生物質のスタートになりますね。

 

静菌系抗生物質も、やっぱりたくさんの種類があります。

簡単なグループ分けとその名前、

どこに働くものかをまとめておきますね。

 

「テトラサイクリン系」は、

mRNAにアミノ酸を合わせていくところ

(正しいものを持ってきたかチェックするところ)を

邪魔する薬。

「マクロライド系」は、

タンパク質合成担当の細胞小器官リボソームが

mRNA上を動いていくところを邪魔する薬。

「クロラムフェニコール系」と「リンコマイシン系」は、

アミノ酸がつながって(ペプチド結合)

タンパク質になろうとするところを邪魔する薬です。

 

出会う機会が多いのは、

テトラサイクリン系とマクロライド系ですね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)