4 消化器系のおはなし(15)
腎臓の働きのうち、
尿を作ることとpH調節についておはなししました。
肺が原因だと「呼吸性」、
それ以外が原因だと「代謝性」が頭につく。
酸性に傾くとアシドーシスで、
アルカリ性に傾くとアルカローシスでしたね。
これ、生化学「13 酸性・アルカリ性」の復習です。
では、他に腎臓はどんな働きをしているか。
ビタミンDの活性化は大事なお仕事ですね。
ビタミンについては
生化学「9 ビタミンとミネラル」でおはなししました。
ビタミンDは脂溶性で、カルシウムと関係が深い存在でした。
カルシウムは骨や歯だけじゃなく、
筋肉や神経にも必要…思い出しましたか?
つまり、腎臓が悪いとビタミンDが本気モードになれず、
カルシウムを使っているところ
すべてに悪影響が出てくるのです。
結構広範囲ですよ。
自分で人体白地図等に影響が出てくるところをマークして、
実感してみてください。
さらに忘れてはいけないのが赤血球の成熟因子。
エリスロポエチンがないと、
赤血球が「働ける赤血球」になれません。
酸素を運べる赤血球になるためには、
腎臓のエリスロポエチンが必要です。
だから腎臓の調子が悪いと、貧血を起こしがちです。
以上、尿作成以外でも大事なお仕事だらけの腎臓でした。
だから腎臓がおかしくなってしまった人は
「人工透析」や「腎移植」になるのです。
腎移植がとてつもなく大変な理由は分かりますよね。
時間面、金銭面だけではありませんよ。
白血球の型(HLA)が合わないと
原則として移植できないおはなしは、
生化学「12 血液」でしましたね。
だから大部分の人は人工透析になるのですが…
こちらの問題点もおはなししたはず。
病院通いの頻繁さ、時間的制約、さらにはシャント維持…。
運よく腹膜透析可能でも、
数年後には人工透析が待っていること。
しかも腎臓の働きのうち、
「不要物排出」と「一定程度のpH調整」以外は
何も改善されていないこと…。
勉強してきた今の皆さんなら、
いかに大変な状態が待ち受けているかが分かるはずです。
だから、腎臓は「肝心(肝腎)要」なのでしたね。
排出の意味でも、それ以外の意味でも。
そこを理解してくれれば、
腎臓をいたわった生活ができるはずです。
…とはいえ、腎臓によい生活に目新しいものは必要ありません。
「偏った食事をせず、バランスよく食べる」
「適度な運動をする」
「適宜水分を取る」
…どこかで目にしてきた標語ばかりです。
腎臓の調子が悪くなってしまった後は
いろいろな制限が出てきますが、
そうでない限り、特別なことはありません。
むしろ健康でいるためにすることは、
いつも同じで大丈夫!
少しずつでもいいので、
日々の習慣にしていってくださいね!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)