2 エネルギー代謝と化学式のおはなし(3)
細胞レベルの代謝のおはなしに入りましょう。
「狭い意味での代謝」でしたよね。
ただ、いきなり始めると「代謝される対象(栄養物等)」の種類の多さに
混乱してしまうといけませんので。
「糖」「タンパク質」「脂質」「核酸」の順番でおはなししますよ。
糖の代謝を考えたとき、大きく6つの通り道(ルート)があります。
でもそのうち3つは「1つの通り道の一部」を見ているだけなので、
「4つの通り道…1つについては3つに分けて見るよ」が正確なところです。
最初に、1つに分かれているところから見ていきましょう。
『解糖系』『TCAサイクル(クエン酸回路)』『呼吸鎖(電子伝達系)』です。
解糖系というのは、
1個のグルコース(糖)から、ATPを2つ取り出す過程(プロセス)。
他にも出てくるものはありますが、
それは糖質代謝の詳しい話ですることにしましょう。
TCAサイクル(クエン酸回路)は、
解糖系でできたピルビン酸がくるっと回ると、
4個の商品券1号(NADH)と
1個の商品券2号(FADH2)が出てくる過程(プロセス)。
これまた、糖質代謝のときにちゃんと説明しますからね。
呼吸鎖(電子伝達系)は、
商品券1号・2号をATPに変える過程(プロセス)。
商品券はどこでも使えるとは限りませんから、
細胞の中でどこでも使えるATP(エネルギー)に変える…と思ってください。
この『解糖系』⇒『TCAサイクル(クエン酸回路)』⇒『呼吸鎖(電子伝達系)』、
目的は糖からATPを取り出すことです。
前回勉強した、異化ですね。
次に『糖新生』。
糖以外のもの…グリセロールや乳酸、アミノ酸等からグルコースを作ることが目的。
前回勉強した、同化にあたります。
わざわざ、ATPを使ってまでもグルコースを作りたい理由は、
前回の脳と赤血球ですね。
「グルコースの需要は多くて、それしか使えないから」
…ちゃんと思い出せましたか?
さらに『グルコースをグリコーゲンに変える』。
これは貯蔵型を作っているので、すぐわかりますね。
貯蔵の場所、肝臓と筋肉も思い出しておきましょう。
そして『ペントースリン酸回路』。
これはグルコースから
リボース5リン酸と商品券3号(NADPH)を作る過程(プロセス)。
リボース5リン酸は、遺伝子のもと。
ここについては、結構先の「DNA・RNA(核酸):遺伝子」でおはなししますね。
以上が糖の代謝、大きく分けて4通りの概略です。
糖は「ATPのもと」ですが、他の物ともつながっていることが分かりましたよね。
次回は残った「タンパク質」「脂質」「核酸」の代謝です。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220220更新)