3 糖質と糖質代謝のおはなし(5)
今回は糖と糖代謝の中間地点。
「糖鎖で決まる血液型」のおはなしです。
一番有名な血液型は、ABO式血液型ですね。
これ、実は赤血球の表面にある糖の鎖で決まるんですよ。
赤血球は、私たちの体に酸素を運んでくれる大事なもの。
その表面をぐぐっと拡大してみると…糖の鎖(糖鎖)が付いています。
その一番先端部に何が付いているか、が血液型を決めるんです。
全ての血液型に共通する部分(共通部)があって、
それ以外は何もついていないとO型。
共通部分があって、そのあとガラクトースが付いているとB型。
ガラクトース…単糖(ヘキソース)で出てきた、あの子です。
共通部分があって、そのあとNアセチルDガラクトサミンが付いているとA型です。
あれ?AB型は?
AB型は、ガラクトースが付いているもの(B型)と
NアセチルDガラクトサミンが付いているもの(A型)の両方が出ています。
ここまで分かったところで、血液型の判別検査を見てみましょう。
献血手帳か、母子手帳にのっているはずです。
例えば、母子手帳では「血液型」というページがあって、
そこに丸が2つ(中がぼんやり色がついているもの)あるはずです。
「ん?自分のはぼつぼつ赤い点々が見えるぞ」という人も、
「ぼんやり赤い…?何見てるのか分からないよ?」という人もいます。
ここ、赤血球表面糖鎖先端を抗原とした抗原抗体反応を見ているんです。
抗原抗体反応、懐かしい響きですね。
「1」の、花粉症の話を始める前に説明した、あれです。
あのときは侵入者である花粉が抗原。
私たちの体を守るガードマンが抗体でした。
今回の血液型検査で使う抗体は、わざと赤血球先端の糖を抗原にしてあります。
A型抗体は、A型抗原のNアセチルDガラクトサミンに反応するように。
B型抗体は、B型抗原のガラクトースに反応するように。
そしてこれらは抗原と反応すると、凝集という塊を作ります。
私たちヒトの目には、この凝集が粒々に見えるのです。
では、話を戻して…。
A型のところが粒々になっている人は、A型の抗体と赤血球が反応した証拠。
A型の抗体につかまるのはNアセチルDガラクトサミン付きの赤血球ですから…
そう、A型かAB型ですね。
B型のところが粒々になっている人は、B型の抗体と赤血球が反応していますから、
B型かAB型です。
つまり、両方粒々ならAB型。
どちらもぼんやりなら、O型です。
以上、血液型のおはなしでした。
糖の応用であり、抗原抗体反応の復習も出来ましたね。
次回は、いよいよ糖質代謝が始まりますよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)