6 タンパク質代謝のおはなし(3)
無事に吸収できたタンパク質の行く末を見守りましょう。
タンパク質もATPのもとになれますが…
それよりも大事な役目があります。
骨や筋肉はタンパク質からできるところ。
その材料をわざわざATPにしてしまう必要はないはず…です。
むしろ、タンパク質までATPの材料にしないといけないときは
深刻な栄養不足です。
だから、タンパク質の代謝を見守るとき
ATPになる異化よりも他の物に作り直す同化がメインになります。
同化のやり方やできるものはたくさんありすぎて紹介しきれません。
そこで、今回は「排出」に注目。
タンパク質を体外に捨てる形、尿素についておはなします。
最初に結論。
アミノ酸の中にある窒素(N)は、
アンモニアの形ではなく、尿素の形で体外に捨てます。
そのとき働くのが肝臓の尿素回路です。
結論、いいですね。
これは大事なので覚えちゃってください。
まず、アミノ酸にはアミノ基(NH2)がありました。
そこに窒素(N)の文字、ありますね。
この窒素を体の外に捨てるとき、
有害なアンモニアの形で捨ててはいけません。
ごみ捨ては周囲に迷惑をかけてはいけませんね。
必ず、無害な尿素の形にしてからごみ捨てです。
アンモニアを尿素に変えるのは、
最大の合成・分解工場の肝臓。
肝臓でアンモニア1個に対して3ATPを使って、
尿素を作るプロセスを「尿素回路」と呼びます。
…「ごみ捨てはマナーを守って」は分かったよ。
でも、タンパク質は大事なのに捨てることってあるの…?
大事なものも、古くなったら捨てるときがやってきます。
気に入っている服も、
小さくなったり汚れたりしたら捨てますよね。
取っておいたのでは、
次の新しいものを入れる場所がありません。
私たちの体も同じこと。
骨だって、毎日古くなった部分を壊して
少しずつ新しくしているのです。
タンパク質は確かに大事ですが、
新しいタンパク質のためには
古いものを捨てる必要があるのです。
骨の新旧交代はホルモンのところでおはなしできると思います。
骨芽細胞が、新しい骨を作る細胞。
破骨細胞が、古い骨を壊す細胞。
この2つの細胞のバランスが「骨代謝」を守っているのです。
あと、注意しておくこと。
尿素と似た言葉に「尿酸」があります。
たった1文字違いですが…
こちらのスタイルで捨ててはいけません。
尿酸塩結晶は鋭く尖った形をしています。
このまま捨てようとしたら、
引っかかったところは痛くてたまりません。
少なくともヒトは尿酸の形で窒素を捨ててはいけませんよ!
尿酸は「痛風」という病気のもとですからね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220403更新)