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12 末梢神経のおはなし(2)聴覚・触覚と皮膚(前半)(4)

皮膚には毛の他に

汗腺と脂腺もありましたね。

汗の水分と皮脂(油分)が合わさり、

角質の表面と隙間をさらにガード。

皮脂は酸化すると酸性に変わり、

皮膚の表面を弱酸性に保ってくれます。

これは多くの病原体(特に細菌)にとって、

繫殖に適していない環境。

皮膚の表面を弱酸性にすることで、

皮膚でブロックしたところで

微生物が増殖しないようにしているのです。

あとは、水やお湯で洗い流せば一丁上がり。

体の中に入り込んでくることがなければ、

白血球たちが働くこともありません。

 

だから「くすむから角質除去!」と頑張りすぎると、

大事な防壁を必要以上にはがしていることになります。

角質は減りますが、

同時に表面の水分・油分も減っていますよね。

再度水分や油分が表面を覆うまでの間、

皮膚の表面からどんどん水分が抜けていきます。

上皮細胞組織の間を満たしていた水分が抜けた結果、

「角質落とししたら、かさつく…」

ということが起こるのです。

 

皮脂が皮膚のpHを変えて

防御に一役かっていることは分かりましたね。

汗は皮膚表面の保湿だけでなく、

体温調節にも役立っています。

明らかに「汗かいた!」ときだけではありません。

体から出ていく水分の「不感蒸泄」でもあります。

水分が蒸発するとき、

周囲(ヒトの熱も)の熱を奪っていくことは

化学で勉強しましたね。

これは「打ち水」の存在を思い出せば簡単です。

 

皮膚の構造は3層構造。

外側から表皮、真皮、皮下組織。

先程確認した角質層は、表皮の一番外側です。

真皮は血管とコラーゲンがたくさんあるところ。

皮下組織は脂肪(皮下脂肪)がたまるところです。

触覚情報を電気信号に変える感覚神経の末端は、

真皮に散らばっています。

触っている、熱い、冷たい、硬い、力がかかっている…

伝える情報は多岐にわたりますので、

ここも役割分担。

痛覚と温度感覚担当の

「自由神経(終末)」は、特に大事ですね。

皮膚細胞が変になったときに出やすい熱感や痛みは、

自由神経終末が脳に伝えてくれます。

もし真皮全体がおかしくなってしまうと、

そこにいる自由神経終末も変になり、

熱感も痛みも感じなくなってしまいます。

虫歯がC4(歯髄)まで進むと、

痛みを感じなくなるところと一緒ですね。

次回やけど(熱傷)のところで出てきますので、

覚えておいてください。

 

簡単な皮膚の復習、おしまい。

皮膚が「変!」になったおはなしをはじめましょう。