12 末梢神経のおはなし(1)末梢神経一般・視覚(3)
自己免疫疾患の側面がある末梢神経障害が、
ギランバレー症候群。
急性の、四肢の運動麻痺を起こす
末梢神経障害です。
原因不明部分は多いのですが、
発症の1~3週間前に
感染症をきっかけとして自己免疫ができ、
結果として末梢神経が攻撃を受けてしまいます。
きっかけになる感染症は
細菌・ウイルス・マイコプラズマ等による上気道感染や
カンピロバクター等による下痢症。
「体調崩した。
治ってきたら麻痺が出た!」という状態ですね。
四肢の運動麻痺が主症状ですが、
半数以上では
他の神経もおかしくなってしまいます。
顔面神経支配領域や
嚥下、構音、呼吸筋にも影響が出てきますよ。
発汗異常、頻脈、血圧上昇といった
自律神経症状も出てきますね。
緊急時には人工呼吸器が必要になり、
免疫グロブリン療法や
血漿交換療法がとられます。
このとき、治療に反応して
血圧が急変する可能性がありますので、
注意していてくださいね。
発症から数日~2週間で症状のピークを迎え、
数か月以内で治るのが基本です。
呼吸筋はじめ重大な筋肉麻痺にのみ
目が行きがちですが、
関節拘縮予防や褥瘡予防もお忘れなく!
(2)神経炎
2か月以上の慢性経過をたどるのが
慢性炎症性脱髄多発神経炎(CIDP)。
「脱髄」とあるように、
髄鞘の脱落が起こってしまう病気ですね。
運動・感覚障害の出る末梢神経障害で、
炎症性の脱髄が近位部優先で起こります。
症状としては
左右対称性の四肢の筋力低下や感覚障害。
これが寛解と再燃を繰り返します。
「炎症」なので、初回及び急性増悪時に
副腎皮質ステロイドの薬物療法になります。
慢性かつ副腎皮質ステロイドですから、
副作用の情報提供が必要ですね。
それ以外ではリハビリと
メンタルサポートが主に行われますよ。