6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(29)
おまけ:HBVの抗原と抗体
マーカー(指標)になっているのは、抗原と抗体です。
HBVでは「表面のタンパク質(HBs)」と
「ウイルスの中で作られた後
外に出てくるタンパク質(HBe)」の2つが抗原になります。
あとはそれぞれに対応した抗体
(HBs抗体、HBe抗体)ができますね。
血液中にこのうちのどれがあるかを確認するのです。
例えば、B型肝炎のワクチンを接種したときには、
体の中に抗体ができているはず。
B型肝炎ウイルスのワクチンは
ウイルスの表面抗原(HBs)相当部分を
体の中に入れるものなので、できる抗体はHBs抗体ですね。
だからHBs抗体(+)は、
「少なくともHBVに対する免疫があるよ!」と
いうことを示します。
同じ抗体でもHBe抗体は
「出てきたタンパク質を取り押さえる」担当。
それによってウイルスの感染力は弱まりますが、
ウイルス自体を完全に抑え込んでいるわけではないので、
「HBVに感染しているよ、
他の人にはうつしにくい状態だけど…」というところです。
だから「抗体がある!」だけでは、
体の中がどうなっているかは分かりません。
HBs抗体(+)でHBe抗体(-)なら、
ワクチンで免疫がある状態。
HBs抗体(+)でHBe抗体(+)なら、
感染して免疫があって、
増殖は一段落している状態ですね。
では、抗原が出てきたら。
どちらが出ても、
HVBに感染していることに間違いはありません。
でも現在タンパク質を外に放出している方が、
元気良く増殖真っ最中のようです。
だからHBs抗原(+)より、
HBe抗原(+)のほうが感染性の高い状態です。
ウイルスの中にあるタンパク質を抗原とした(HBc抗原)、
HBc抗体を測定することもありますね。
そのときはHBcに対するIg-MとIg-Gの量を見て、
感染時期や増殖状態を調べますよ。
【あとがき(上部消化器系部分)】
以上、栄養吸収に注目した
上部消化器系のおはなしでした。
これらがおかしくなると、
熱のもとになるATPを作るためのグルコースを
十分に吸収できなくなってしまいますよ!
次回はATPを作る
「代謝」をコントロールする内分泌系のおはなしです。
今回おはなしできなかった、
肝臓の貯蔵に関係する各種代謝異常もおはなししますからね。