7 体温のおはなし(4)内分泌系(代謝異常)(11)
血糖値を上げるホルモンはたくさんあります。
細胞にとっての重要性を思いだせば、
血糖値維持は最重要課題。
特に脳や赤血球にとっては死活問題です。
だから肝臓に空腹時の血糖を維持するための
貯蔵型(グリコーゲン)をためておきます。
でも血糖値を下げる
(=細胞に取り込ませる号令を出す)ホルモンは、
インシュリンただ1つ。
インシュリンがうまく働かないと、血糖値が高いまま。
これでは全身細胞がATPを作れず、腹ペコです。
どうして血糖値がいつも高くなるのかの原因は
2つに分けられます。
1つはインシュリンが不足、
もう1つは細胞がインシュリンの号令を聞かないから。
インシュリンが絶対的・相対的に不足しているものが
インシュリン依存性糖尿病(IDDM)。
細胞が号令を聞かなくなったものが
インシュリン非依存型糖尿病(NIDDM)。
IDDMはⅠ型糖尿病、NIDDMはⅡ型糖尿病とも呼ばれますね。
約9割は遺伝的要因と環境要因の複合で発症するNIDDM、
残りが自己免疫疾患や原因不明の特発性によるIDDMです。
4 血糖と糖尿病のおはなし(7)
今までのおはなしで、糖尿病についての理解が深まったはずです。 もうそろそろ、糖尿病の種類について ...
https://5948chiri.com/bioc-4-7/
糖尿病の始まりには、症状はありません。
やがて易疲労性、口渇、多飲、多尿が出てきます。
体重減少で見つかることもありますね。
NIDDMの基本的治療は
食事療法と運動療法を数か月続け、
それでコントロールできないなら
薬も加えたコントロールになります。
カロリーを一定範囲内に抑えつつ、バランスをとって。
ややきついと感じる脈拍100~120回/分くらいの運動を、
15~30分、1日2回…これを2日に1回ペースです。
これでだめなら、経口剤(飲み薬)で膵臓を刺激。
出ていたインシュリンをもう少し出してもらい、
それで改善するか様子を見ます。
それでもだめなら、インシュリンを注射することになります。
IDDMのときには、
インシュリンを注射で補充することが第一選択。
出ていないインシュリンを前提に
話を進めるわけにはいきませんからね。
NIDDMでも、
インシュリン注射から治療を始めるときもあります。
手術前や昏睡状態、肝不全や腎不全を合併している場合、
中心静脈栄養(IVH)をしているときや
妊娠中のときにもインシュリン注射です。
これらはすぐに血糖値をコントロールする必要があるからですね。
なぜそんなに急ぐのか。
それは糖尿病から生じる「合併症」が大問題だからです。