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8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(3)生殖器系(7)

子宮内膜症は、

子宮内膜が子宮以外にもできてしまうもの。

月経のたびに出血し、炎症と癒着を繰り返して、

増殖・進行していく困ったものです。

できる場所は主に卵巣、骨盤腹膜、ダグラス窩。

子宮内膜症を起こすと約9割が月経困難症を起こし、

3~4割は不妊原因になりえます。

原則として鎮痛剤とホルモン剤による長期薬物療法。

妊娠を希望しない40代以降ならば、

重症度合いによっては

がん予防もかねて卵巣と卵管切除をすることもありますよ。

 

子宮腺筋症は、

子宮内膜が「子宮筋層内」で増殖して、

子宮の一部または全部の壁が分厚く(肥大)なるもの。

一部肥大なら限局型、全部肥大ならびまん型ですね。

30~40代に多く、

月経終了後も数日続く月経痛や過多月経、貧血が見られます。

これらの症状は閉経でなくなりますが…

待っていられないなら鎮痛剤と鉄剤の薬物療法です。

どうしても症状が重いなら

一部摘出手術になることもありますが。

妊娠時に子宮破裂の危険性が出るため、

可能なら手術は避けたいところですね。

 

月経の困難はなくとも、

「月経が変!」というのが月経異常。

排卵がない、月経があったりなかったり、

あるけど周期がバラバラ…。

これらが月経開始から数年内なら、

ホルモン分泌が落ち着けば治まるはず。

ただし、

多嚢胞卵巣症候群でもこれらの月経異常は起こりえます。

また、スポーツ選手等の過度な食事制限によって

下垂体のゴナドトロピン

(卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモン)が減ると、

卵巣機能低下症が生じて、

月経自体が止まってしまいます。

これではいざ

「子供が欲しい(生殖希望)!」ということになっても、

なかなか受精できず、

受精できたと思っても

子宮内膜準備がうまくいかないせいで着床できず。

妊娠、できませんね。

卵巣が働かないとなぜ受精や着床に悪影響が出るのか。

すぐに思い出せなかった人は、

2種類の女性ホルモンによる2相性を復習しましょう。

2種類のホルモンは何を担当しているのか、

2つの相の切り替わりには何があったか。

月経が止まるということは、

生殖に適した状態とは言えませんね。

 

(3)がん、更年期障害

卵巣は卵子を育む場所であり、

女性ホルモン産生の場でもあります。

そこの腫瘍が卵巣がん。

本来2~3㎝ほどの卵巣が

10㎝以上に大きくなってしまうこともあります。

始まりは膨満感、下腹部痛。

大きくなってくると腹水や卵巣捻転、

卵巣破裂の危険も出てきます。

嚢胞(袋状:卵巣嚢腫のこと)なら

良性腫瘍のことが多く、

部分的にでも中に何かがつまってくると

悪性可能性が上がってきます。

手術をして、化学療法併用になりますね。

他に転移がないなら5年生存率は9割を超えますから、

早く気付くことが第一です。