8 下部消化器系・生殖器系のおはなし(1)腎臓と尿(6)
他の細胞も、多大に悪影響を受けていますよ。
白血球たちがうまく働けなくなると、
免疫不全も起こってきます。
尿にタンパク質が出ると尿細管がおかしくなっていく…
このおはなしは急性腎不全でしたばかりです。
そしてさらに尿細管が働かず、
体外に水分を捨てる調節も変になってきます。
血液中ナトリウムをうまく捨てられない
(つまり、水分をうまく体の外に出せない)と、
体内水分量増加による高血圧につながります。
水分が多すぎると、うっ血性心不全が怖くなってきます。
再吸収による濃縮がうまくできずに、
夜間頻尿を起こしてよく眠れなくなる人も出てきますね。
しかも高血圧自体が腎不全を進めるハイリスク因子。
また、高血圧は動脈硬化にも関係がありました。
尿毒性物質による血管内皮細胞への刺激も、
動脈硬化の始まりですから、
次々と悪循環が重なっていきますね。
このように腎臓の働きを確認していけば、
慢性腎不全で起こっていること(症状)は理解できるはずです。
どれだけ重大な状態が起きているか、改めて分かってくださいね。
対処法としては、尿を出しつつ、腎臓の負担を減らすこと。
利尿剤(降圧薬)を使いつつ、食生活等の改善が必要です。
ここは「原因疾患に合った治療」とも重なってきますよ。
緊急時には人工透析になることは、急性腎不全と同じです。
ただし長期透析となると、
透析では取り除ききれない繊維状の
アミロイドタンパクが沈着してしまう
「透析アミロイドーシス」が
骨や関節に出てくることがあります。
どうしてもだめなら腎移植を待つことになりますが…
かなり待ち時間がかかるのが現状ですね。
B 人工透析
日本では腎移植が現実的とは言えない以上、
人工透析はほぼ「最終手段」ともいえる腎不全対策です。
人工透析を必要とする人は約30万人いて、
3万人以上に毎年新たに人工透析が必要になってくるといわれています。
原因は糖尿病性が一番で、次いで慢性糸球体腎炎。
この2つで約7割を占めますよ。