9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(6)
胸膜は臓側と壁側の2つがありますが、
壁側(外側)の方が痛みに敏感です。
肋間神経の担当で、
胸膜炎や気胸、肺で梗塞が起こったサインかもしれません。
いわゆる「肋間神経痛」は、
肋間神経が担当しているところで
「変!」が起きているということ。
他に原因のある続発性と、
原因が見つからない原発性があります。
外傷による肋間骨折はもちろんですが、
側弯症、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症や腫瘍といった、
次のブロックでおはなしする骨の「変!」は続発性の原因。
胸腔内病変で起こることも、イメージしやすいですよね。
あとは、帯状疱疹の表面のピリピリ感も原因ですよ。
原発性を引き起こすものとしては
ストレス、筋肉のこり、姿勢による刺激等があります。
原発性の肋間神経痛は比較的早く治まる、
発作的症状が多いはずです。
続発性なら、
元になっている病気の治療が胸の痛みの治療になりますよ。
気管や気管支は、迷走神経が担当しています。
特に危険なのは、食道破裂による激しい痛み。
生命、危険信号です。
軽度の胸痛は、消炎鎮痛剤の湿布や内服、
リハビリテーションや運動療法を行うことになります。
続発性の胸痛には、何より原因治療ですね。
特に帯状疱疹は、
抗ウイルス薬を早く入れないと胸痛が悪化して長引きます。
「どうしても痛い!」というときには、
肋間神経自体に麻酔をする
肋間神経ブロックをすることもありますよ。
おはなしを「縦隔」の腫瘍に戻しましょう。
縦隔に腫瘍ができても、多くは無症状。
でも、周りの圧迫や浸潤による悪影響は出てきます。
上肢の血管拡張やむくみが生じる「上大静脈症候群」。
喘鳴や窒息を起こす「気道狭窄症状」。
他にも横隔膜の動きをコントロールする
横隔神経麻痺等の神経症状が出てきます。
先程確認した場所を思い出せば、
どうしてこんな症状が出るか分かりますね。
周りに悪さをしてしまったら基本的には手術。
もし悪性だったら、加えて化学療法・放射線療法ですね。
同じく胸膜の、
表面を覆う中皮細胞由来の腫瘍が「(胸膜)中皮腫」。
5~9割は、塵肺症と同じく
アスベスト(石綿)が原因で生じます。
アスベストの微粉末を吸い込み、20年から40年かけて腫瘍化。
こちらは早くから胸水、胸痛、咳嗽が出ます。
進行すると呼吸困難と体重減少です。
早く気付いて切り取ってしまわないと、
予後がよろしくありません。
補助的に疼痛コントロールや咳止めの
薬物療法、酸素療法も使われますよ。