10 各論5:体温(感染・免疫):⑥ワクチン(予防接種)(1)
ワクチンのおはなしの前に、
一次応答と二次応答を簡単に復習しましょう。
異物が体内に初めて入ってきたときの体の反応が一次応答。
ナチュラルキラー細胞は退治モードに入りますが、
その異物はどう取り押さえたらいいのか分かりません。
だから出てくる抗体(ガードマン)はIg-M。
抗原反応部位が5つ(または6つ)ありますので、
異物をどれかで捕まえることはできます。
でもIg-Mの数は少なく、効率的な免疫とはいえません。
ただ、ここでIg-Mに取り押さえられ、
マクロファージに食べられた抗原情報は、
Tリンパ球へと伝わります。
もし次回以降同じ異物が入り込んできたら、
Tリンパ球はBリンパ球に
異物に合ったIg-Gの産生要請ができます。
Ig-Gは抗原反応部位1つ(1量体)ですが、
数で勝負することができます。
たくさん作ってたくさん取り押さえれば、
細胞に入り込む(または増殖する)異物量が減ります。
細胞に入り込まれたとしても、
抗原が細胞表面に出た途端にIg-Gがくっついて、
「これを壊して!」と破壊担当白血球にサインを送れます。
この効率的な免疫が、二次応答です。
二次応答の状態にしておけば、ウイルス侵入対策は一安心。
だから私たちは「ワクチン接種(予防接種)」をするのです。
ワクチンは大きく2つに分けることができます。
「ウイルスを使うもの」と
「ウイルスが作った毒素を使うもの」です。
「ウイルスを使うもの」は、さらに2つに分けることが多いですね。
ウイルスが増えない
(不活性化:死んだ状態?)「不活化ワクチン」と、
悪さはしにくいけどウイルスが生きている「生ワクチン」です。
ウイルスが作った毒素を使うものは「トキソイド」と呼ばれます。
トキソイドはジフテリア菌や破傷風菌予防に使います。
生ワクチンの代表は結核菌のBCG。
あとは水痘・帯状疱疹(サイトメガロウイルス)、
風疹ウイルス、麻疹ウイルス、
おたふくかぜ(ムンプスウイルス)、
黄熱病(黄熱ウイルス)の予防接種も生ワクチンです。
不活化ワクチンは一般的な
インフルエンザ予防接種をイメージしてください。
日本では、一定の菌やウイルスの感染を抑制するために、
法律で予防接種をすることにしています。
この「法定ワクチン」に入っているものは、
かかると重症化し、生命に危険を及ぼし、
重い後遺症が残るものだ…と思ってくださいね。
次回、法定ワクチンの中身を見ていきましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)