10 各論5:体温(感染・免疫):⑧過敏症(4)
目のトラブルは緑内障だけではありませんね。
感染は、目の周りでも起こります。
細菌が原因なら、
例えばゲンタマイシン硫酸塩(ゲンタマイシン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053767
イメージしてほしいのは「ものもらい(麦粒腫)」ですね。
禁忌はその薬に過敏症のある人。
抗生物質のバシトラシン
(アミノグリコシド系)に過敏症のある人も、禁忌です。
真菌原因なら、一例としてピマリシン。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057207
通常の免疫力がないときには、
目にも真菌増殖の危険がありますからね。
禁忌は薬そのものに対する過敏症ですね。
ウイルスにもいろいろありますが。
例えば単純ヘルペスウイルスに対しては、
アシクロビル(ゾビラックス)眼軟膏。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053125
単純ヘルペスウイルスにはⅠ型とⅡ型があります。
Ⅰ型が口唇周辺で、Ⅱ型が性器周辺で発症しますが、
どちらも手指経由で目に感染する可能性がありますよ。
禁忌は薬自体に対する過敏症と、
同じくヘルペスウイルスに対する薬の
バラシクロビル塩酸塩の過敏症です。
あと、このお薬は「目に使う軟膏」なので
コンタクトレンズにへばりついてしまいます。
アシクロビル眼軟膏使用中は、
コンタクトレンズをお休みして眼鏡をかけてくださいね。
角膜の傷は、目の感染のきっかけになります。
コンタクトレンズを付けている人にとっては、
かなり身近な問題ですね。
角膜保護に使われる目薬の一例として、
「フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム・
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
(ムコファジン)」があります。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00007673
やたらと長い名前で頭が痛くなりますが…
落ち着いて見てみましょう。
「フラビンアデニンジヌクレオチド」はFADのこと。
これ、ビタミンB2のことです。
ビタミンB2にナトリウムがくっついたものは、
ビタミンB2補充薬(例えばフラビタン)としても使われます。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00004812
このビタミンB2補充薬は点眼薬以外にも、
代謝の補酵素として
口内炎・口角炎治療や滋養強壮にも使われます。
添付文書の下の方(「薬効」の部分)に、
『糖質・脂質・タンパク質代謝』の文字がありますよ。
まさに生化学のおはなしとつながっているところですね。
おはなしを点眼薬の方に戻して。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムは、
神経線維の補修目的でも使われます。
点眼薬として使うときには、水分をたっぷりと含み、
角膜が酸素も栄養分も不足しないようにしてくれます。
とかく、角膜を各種刺激から守りつつ、
付いた傷が早く埋まるように代謝を早めてくれるお薬が、
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム・
コンドロイチン硫酸エステルナトリウムです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)