10 各論5:体温(感染・免疫):②細菌に効く薬(8)
ヒト用に広く使われる消毒用アルコール。
いわゆる「エタノール消毒」ですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048132
芽胞には効かず、真菌への効きはいまいち。
ノロウイルスのような
「エンベロープなしウイルス」にも効きがいまいちです。
エンベロープというのは、
一部のウイルスに見られる膜状構造のこと。
インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がエンベロープ持ちの代表です。
しかも「アルコール濃度が濃ければ良い」とは
言えないのが難しいところ。
一度完成したら放置してもいいかというと、
これまた濃度が薄くなってしまうのでダメなのです。
こまめに作り直す必要があるので、
「希釈」の計算が国家試験に出てくることになりますよ。
低水準消毒薬は、
普段使いをして一般的な細菌を殺すものです。
ちょっと特殊菌(含む芽胞)や、
真菌、ウイルスには効きませんよ。
クロルヘキシジングルコン酸塩(クロルヘキシジン)や
ベンザルコニウム塩化物(逆性セッケン)。
アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
(サテニジン)に代表される両面界面活性剤がここですね。
クロルヘキシジングルコン酸塩は、
細胞膜はじめ核酸にも効く消毒薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00011536
手術部位の消毒に使うこともありますが、
禁忌には注意してくださいね。
粘膜面と中枢神経(加えて内耳神経)に禁忌です。
膣や口腔粘膜等では
アナフィラキシーショックの可能性があります。
脳や脊髄、外耳をはじめとする耳にも使えませんよ。
神経障害や難聴の危険があるからです。
ベンザルコニウム塩化物は「逆性セッケン」よりも
「ウェルパス」の名前で出会うことが多いかも。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057745
ウェルパスは損傷皮膚はじめ粘膜への使用が禁忌です。
ベンザルコニウム塩化物そのものというより、
一緒に含まれるエタノールの刺激が原因です。
手に付けて「しみる!」ときには、
ウェルパス消毒はあきらめましょう。
両性界面活性剤は、
病室や器具といった人以外にも使う消毒薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060171
結核菌にも効いてくれるので、
ちょっとだけ便利ですね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230503更新)