12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑧うつ・双極性障害の薬(3)
イミプラミン塩酸塩、併用注意薬のうち
本剤の効果が強まるものですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001871
その多くは、本剤同様中枢(精神)に効く薬です。
中枢神経抑制薬として、
全身麻酔、抗不安薬(アルプラゾラム)、アルコール…
サリドマイドの名前までありますね。
サリドマイド(サレド)は先天奇形を引き起こすことで
過去に大問題を起こした薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062982
警告文にちゃんとその歴史が反映されています。
現在でも悪性腫瘍(多発性骨髄腫)の薬や
らい病による結節性紅斑の薬として使われますよ。
同じセロトニンに効く
選択的セロトニン受再取り込み阻害薬(SSRI)や
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)との併用では、
セロトニン症候群が起こってしまうかもしれません。
セロトニン症候群は、セロトニンの過剰で起こる
自律神経症状・精神症状・神経筋肉症状のこと。
体温が上昇し、発汗して、高血圧と共に心拍数が上がり
緊張感、吐き気、下痢を伴うのが自律神経症状。
精神症状としては興奮・頭痛、混乱や錯乱が出てきます。
そして神経筋肉症状としてはミオクローヌスや振戦、反射亢進、
あごや歯をがちがちさせるような
緊張と緩和の繰り返しが見られます。
併用注意薬に戻って…
アドレナリン作用薬は受容体のアドレナリン作用性亢進によって
心血管作用が強く出てしまいますよ。
そして抗コリン薬は抗コリン作用が強く出すぎることになります。
統合失調症の薬クロルプロマジン塩酸塩に代表される
フェノチアジン系は、
そこに加えて鎮静作用も強く出すぎてしまう可能性がありますからね。
続いて、本剤代謝酵素との競合もしくは邪魔のせいで
本剤の効果が強まるもの。
抗真菌薬のテルビナフィン、抗ウイルス薬のホスアンプレナビル、
消化管潰瘍薬のシメチジン、
抗不整脈薬のキニジン等がこれにあたります。
多動性障害に使うメチルフェニデートや、
黄体・卵胞ホルモン製剤がここに入ることには注意が必要ですね。
そして心電図や電気刺激に関係する併用注意薬としては、
QT延長の可能性がある四環系抗うつ薬のマプロチリンや、
抗悪性腫瘍薬のスニチニブなどがあります。
尿崩症等に使うバソプレッシン誘導体のデスモプレシンも、
低ナトリウム血症性のけいれんにつながる可能性があります。
抗けいれん薬・抗てんかん薬としても使われる
パーキンソン病の薬ゾニサミドは、
てんかんの危険だけでなく、
高血圧や失神といった循環障害、
筋肉や精神の障害にもつながりやすいので
併用は要注意ですよ。
あと、薬ではないのですが。
閾値の低下でけいれんを起こしやすいので、
電気ショック療法も併用注意に含まれていますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20240425更新)