2 薬に共通するおはなし(1):吸収(A)の応用(3)
前回は初回通過効果を受けない点に注目してみました。
今回は「小腸よりも早く吸収!」に注目してみましょう。
すぐに効いてほしいときの例として、
呼吸が苦しいときもイメージしやすいですね。
例えば、気管支喘息。
空気の通り道の気道(主に気管支)が狭くなってしまい、
空気を十分に体の中に取り入れられない状態です。
空気中の酸素も体の中に取り入れられませんから、
全身細胞が酸素不足の大ピンチ!
こんなときには吸入剤の出番です。
例えば、気管支拡張薬。
気管支の平滑筋を収縮させるのは副交感神経の担当。
だから交感神経系を優位にする薬か、
副交感神経系の働きを邪魔する(遮断する)薬があればいいですね。
どちらの吸入剤もありますよ。
鼻の中に噴射して息を吸うと、
薬の入った空気が肺胞へと届きます。
肺胞は酸素と二酸化炭素を交換する場所。
肺胞の周囲は網目のような毛細血管に覆われています。
酸素を血液に取り込むときに、
薬も一緒に取り込んでもらえば…
すぐに血液にのって
交感神経系や副交感神経系に働いてくれます。
しかも肺胞と気管支はすぐそばにありますね。
早速縮みすぎている平滑筋に働いて、
緩めて(気管支を広げて)くれそうです。
そんなに便利なら
他のお薬も吸入しちゃえばいいのに!
…と思うかもしれませんが。
残念ながら、吸入は量の調節が難しいという欠点があります。
薬は多すぎると「毒」になってしまいます。
これはもう少し先のおはなしです。
今は「気管支に効かせるお薬は、吸入があるぞ!」
ぐらいのつもりでいてくださいね。
今まで「小腸から吸収される飲み薬」と対比させて、
薬の吸収方法についておはなししてきました。
…一番いやな「注射」が、まだ出てきていませんね。
注射は確かに使い方によっては早く吸収されますが、
あまり率先して選びたい方法ではありませんよね。
だから「飲み薬の中の種類」のおはなしを
先にすることにしましょう。
その後で「針を刺すおはなし」をまとめますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221108更新)