8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(2:下痢と便秘1)
大腸のおはなし、
続いて身近な下痢と便秘に入りましょう。
下痢は便の水分が多すぎるもの、
便秘は便の水分が少なすぎるものですね。
小腸のおはなし同様、
自律神経(特に副交感神経系)の
コントロールを受けているので、
自律神経の働きによって左右されるところでもあります。
まずは下痢のおはなしから。
下痢のときには、何はなくとも水分吸収。
可能なら、ミネラルを含んだ水分を補給してください。
下痢の原因として先の自律神経系異常のこともありますが、
最初に疑ってほしいのは細菌感染(感染性下痢)です。
病原体(ヒトの体に悪さをする細菌)が
腸内で増殖してしまった。
そんなとき「増殖を抑えつつ(可能なら殺菌して)」、
「細菌が出した毒素から腸を守り」、
「可能な限り早く体の外に出すこと」が重要です。
下痢は腸(特に大腸)内の病原体を体外に押し出す
大事な働き(「下痢の自浄作用」といいます)。
何も考えずに「下痢だ!止めなきゃ!」と
下痢止め(止痢剤)をのんでしまうと、
その苦しみが長引くことになります。
だから、下痢をしたら水分補給から。
それが続くようなら、病院ですね。
原因を明らかにしてから、それに応じた薬を使いますよ。
病原体の正体が細菌なら、殺菌は抗生物質のお仕事。
ここは感染のおはなしまで後回しですよ。
細菌の増殖を抑える薬が、いわゆる整腸剤。
ビフィズス菌
(お薬名だとラックビーやビオフェルミン)を入れて、
腸内の乳酸を増やします。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060088
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00049765
乳酸のせいで腸内pHが酸性に傾けば、
病原体となる細菌は増殖しにくくなります。
病原体の正体がウイルスや寄生虫等だと
「粘膜保護や毒素からの防御」の重要性が上がります。
各種毒素の吸着に役立つのが、ケイ酸アルミニウム。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048230
胃・十二指腸潰瘍の粘膜保護にも使われるお薬です。
そこで「透析時は禁忌!」とおはなししてありますよ。
(スクラルファートの、アルミニウムイオンのところです)
ただ、毒素だけでなく必要なはずの薬もくっつけてしまう
(吸着してしまう)ことがありますね。
寄生虫等を殺す薬等についても、
感染のところまでおまちください。
ウイルスは、追い出し戦術が基本ですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)