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8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘4)

2023年3月18日

下痢のおはなし一段落。

便秘のおはなしに入ります。

便秘は腸管の中に便が滞在しすぎて、

便の水分が少なく(硬く)なったもの。

「水分を含ませる」か

「腸管に刺激を与えて動いてもらう」で、

便秘を解消できそうですね。

 

便に水分を多く含ませる薬の例が

ラクツロース(モニラック)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051628

「ぎゅうぎゅうすかすか(浸透圧)」を利用して

腸の中に水分を移動させます。

さらに腸内細菌が分解しやすいものを含んでいるので、

腸内細菌の働きでpHが下がり(酸性になり)ます。

そのせいで腸内環境が良くなり、

できてしまったアンモニア(水に溶けてアルカリ性)も

pHを動かす暇なく中和されていきます。

水分も、腸内細菌もめでたしめでたしです。

 

ラクツロースの禁忌はガラクトース血症の人。

「腸内細菌の分解しやすいもの」として

ガラクトースも含まれているからですね。

ガラクトース血症は、

ガラクトースを代謝(分解)する酵素が

変な形で遺伝してしまったもの(常染色体潜性(劣性)遺伝)。

適切な治療をしないと生きていけないので、

新生児マススクリーニングの1つです。

そんな人に分解できないガラクトースを

体の中に入れてしまってはいけませんね。

 

ガラクトースをはじめ糖が含まれる…ということで、

糖尿病の人には慎重投与になりますよ。

 

水分を便に加えつつ、膨張して腸管に刺激を与える薬の例が、

カルメロースナトリウム(バルコーゼ)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059947

水分を含んで、

粘り気のあるぺとぺとした状態(粘性コロイド)になります。

ヒトはこれを消化できないので、

便の中や周りに水分が保持されて

つるりと出しやすい便になるのですね。

 

禁忌は急性腹症と重度の硬結便の人。

どちらも症状が悪化してしまう恐れがあるからです。

あまりに便塊が大きくなり硬くなってしまった後では、

薬で水分を補ってもどこにも動けません。

さらに周囲を圧迫してしまったら、

症状が悪化してしまいますね。

 

急性腹症は、急に発症して激しい腹痛を伴い、

すぐに診断・治療・手術が必要なもののこと。

穴が開いてしまった穿孔や

虫垂炎・胆嚢炎・膵炎(と胆石等)の重度炎症、

腸重積やヘルニア嵌頓・複雑イレウス等が含まれます。

大動脈解離や瘤の破裂、子宮外妊娠破裂のように

消化器系とは関係ないものも含まれることに注意です。

これらのときには、すぐに原因判明させること。

何も考えずに

便の不具合解消を図ってはいけない…ということは

下痢のところでしっかりと勉強しましたよね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)