9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(10)
副腎皮質ホルモンのもう1つ、
糖質コルチコイドのおはなしです。
前回も出てきた消炎鎮痛剤(痛み止め)。
消炎鎮痛といえば、糖質コルチコイドの出番です。
糖質コルチコイドは名前の通り、
血「糖」値を上げるホルモンの1つです。
血糖に関係するおはなしは、
消化器系の糖尿病のところでしましたね。
糖尿病の何がいけないのか、
すぐに思い出せなかったら復習ですよ!
ここでは、
糖質コルチコイドの「抗炎症」に注目します。
まず、炎症というのは
発赤(赤い!)・熱感(あつい!)・
腫脹(腫れた!)・疼痛(いたい!)を4兆候とする、
身体の防御機構。
これらによって異物排除の白血球が集まりやすくなり、
身体は異物から守られることになります。
だから炎症自体は異物排除を促進し、
異常を知らせる大事なサインです。
とはいえ、
ヒトにとって炎症は「困った!(不具合)」の1つ。
だから、炎症を抑える(抗炎症)薬があるのです。
生化学のおはなしで、
抗炎症については少し触れてあります。
脂肪酸のアラキドン酸からできる炎症物質、
「アラキドン酸カスケード」のところです。
8 脂質代謝のおはなし(5)
脂質代謝はATPを作って終わり、ではありません。 脂質から他のものができることも、 立派な代謝(同化 ...
https://5948chiri.com/bioc-8-5/
炎症物質の多くはアラキドン酸からできるため、
そこに働く酵素を邪魔すれば、
それは立派な抗炎症。
でも、どうせならもっと大元のところ…
「中性脂肪やリポタンパク球から
アラキドン酸がでてくるところを邪魔しよう!」
これが、糖質コルチコイドの働きです。
「糖質コルチコイドに似た形の物」が、
いわゆるステロイド剤です。
ステロイド核(五角形1個六角形3個)のあるものは、
みんなステロイド。
糖質コルチコイド(コルチゾール)も
「ステロイド」でしたよね。
抗炎症薬のうちステロイド核のあるもの
(ステロイド薬)には多くの種類があります。
日常生活でお目にかかるのは、
塗り薬(外用薬)として使われるものが多いですね。
外用薬の一例としてプレドニゾロンを紹介しましょう。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060587
赤く痛いところ(炎症部位)に塗ると、
炎症物質ができませんから、炎症が引いていきます。
「赤みが引いた!」「痛くなくなった!」
これが炎症が治まった状態です。
でも、禁忌がそれなりにありますね。
次回、プレドニゾロンの禁忌から確認していきましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)