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9 各論4:体温(内分泌系):甲状腺・副甲状腺(2)

2023年4月4日

チアマゾールの注意点ですね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052463

 

併用注意を見ると、

ジギタリス製剤とワーファリンカリウムがあります。

代謝が亢進しているとき(チアマゾールを使う前)は、

排泄促進・凝固能亢進状態なので

ジギタリス製剤はたくさん排泄され、

ワーファリンカリウムの効果が強く出ています。

ここにチアマゾールを使う(併用する)と、

血中ジギタリス製剤濃度が上がり(中毒症状の危険!)、

ワーファリンカリウムの効果が弱まる

(今までの量だとよく効かない?)ことになります。

 

そして妊婦(・妊娠可能性のある人)では、

ヒト胎盤通過による児の奇形が報告されています。

また母乳にも移行して、

乳児甲状腺に影響が出てしまいます。

禁忌に含まれていてもおかしくないレベルです。

だから妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中は

「チアマゾールは本来ダメ!

もうどうしようもないときだけ!」ですよ。

 

「…白血球にもダメ、妊婦さんにもダメ…使いにくいなぁ、もう…」

そんなときにはプロピルチオウラシル(プロパジール)です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052464

 

禁忌は「使ったら肝機能が悪化した人」。

劇症肝炎を起こしてしまった例が報告されています。

劇症肝炎というのは、肝臓の働きが急低下して

昏睡のような重い症状が出てしまうもの。

慎重投与対象に「肝障害がある人」が含まれるのも納得です。

 

慎重投与対象に中等度以上の血液障害が入ってきてしまうのは、

チアマゾールと同じ。

併用注意にジギタリス製剤とワーファリンカリウムがあることも、

理由ともどもチアマゾールと同じです。

 

残念ながら、胎児や授乳に「無影響」ではありません。

妊娠・妊娠可能性のある人が使用すると、

子どもに甲状腺機能抑制や甲状腺腫が出やすくなります。

乳汁に移行してしまうので、

本音を言えば授乳も避けたいところです。

でも、移行量はチアマゾールの1/10.

だから「使うなら、プロピルチオウラシルのほうがまし!」です。

 

無顆粒球症のことも一緒に考えると、

「肝臓の状態いかんにもよるけど…どちらかといえば

プロピルチオウラシルのほうが安心?」という感じですね。

もちろん、そのときには肝臓の調子をこまめに確認ですよ!

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)