9 各論4:体温(内分泌系):甲状腺・副甲状腺(2)
チアマゾールの注意点ですね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052463
併用注意を見ると、
ジギタリス製剤とワーファリンカリウムがあります。
代謝が亢進しているとき(チアマゾールを使う前)は、
排泄促進・凝固能亢進状態なので
ジギタリス製剤はたくさん排泄され、
ワーファリンカリウムの効果が強く出ています。
ここにチアマゾールを使う(併用する)と、
血中ジギタリス製剤濃度が上がり(中毒症状の危険!)、
ワーファリンカリウムの効果が弱まる
(今までの量だとよく効かない?)ことになります。
そして妊婦(・妊娠可能性のある人)では、
ヒト胎盤通過による児の奇形が報告されています。
また母乳にも移行して、
乳児甲状腺に影響が出てしまいます。
禁忌に含まれていてもおかしくないレベルです。
だから妊娠・妊娠可能性のある人、授乳中は
「チアマゾールは本来ダメ!
もうどうしようもないときだけ!」ですよ。
「…白血球にもダメ、妊婦さんにもダメ…使いにくいなぁ、もう…」
そんなときにはプロピルチオウラシル(プロパジール)です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052464
禁忌は「使ったら肝機能が悪化した人」。
劇症肝炎を起こしてしまった例が報告されています。
劇症肝炎というのは、肝臓の働きが急低下して
昏睡のような重い症状が出てしまうもの。
慎重投与対象に「肝障害がある人」が含まれるのも納得です。
慎重投与対象に中等度以上の血液障害が入ってきてしまうのは、
チアマゾールと同じ。
併用注意にジギタリス製剤とワーファリンカリウムがあることも、
理由ともどもチアマゾールと同じです。
残念ながら、胎児や授乳に「無影響」ではありません。
妊娠・妊娠可能性のある人が使用すると、
子どもに甲状腺機能抑制や甲状腺腫が出やすくなります。
乳汁に移行してしまうので、
本音を言えば授乳も避けたいところです。
でも、移行量はチアマゾールの1/10.
だから「使うなら、プロピルチオウラシルのほうがまし!」です。
無顆粒球症のことも一緒に考えると、
「肝臓の状態いかんにもよるけど…どちらかといえば
プロピルチオウラシルのほうが安心?」という感じですね。
もちろん、そのときには肝臓の調子をこまめに確認ですよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)