9 各論4:体温(内分泌系):甲状腺・副甲状腺(4)
後半パート「骨代謝」のおはなしに入りましょう。
骨は一度できたら終わり!…ではありませんね。
「倉庫老朽化である日突然崩落!」
なんてことのないよう、
日々少しずつ破骨細胞が壊し、
その分を骨芽細胞が補修していきます。
これが骨代謝ですね。
骨芽細胞と破骨細胞のサイクル、
そしてその中に貯蔵しておくカルシウムやリン。
これらに関係してくるホルモンが
甲状腺ホルモンのカルシトニン、
副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH)、
そして性ホルモンです。
そこに働く薬は「骨に関係する薬」になりますね。
甲状腺機能が低下すると、
カルシトニンの分泌が抑制されます。
カルシトニンは骨にためているカルシウムやリンが
必要以上に血液中に溶けだしていくのを防いでくれますから…。
カルシトニンが不足すると、
骨が弱くなってしまう(強度不足)可能性があります。
エルカトニンはカルシトニン補給のお薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059601
これは骨の強度維持に加えて、
骨由来の痛みも抑えてくれる薬。
薬本体に過敏症を示してしまった人には禁忌。
慎重投与は発疹等の過敏症を起こしやすい人と、
喘息のある人ですね。
どちらも発作誘発の危険性があります。
併用注意に注目!
「ビスホスホン酸塩系骨吸収抑制剤」とあります。
これも、骨粗鬆症
(骨の強度が保てないほどすかすかになってしまう病気)で
使う薬です。
「骨の強度不足」ということで
カルシトニンも一緒に使いたくなりますが、
それでは血液中のカルシウム濃度が下がりすぎてしまうかも!
副甲状腺ホルモン(パラトルモン:PTH)も
骨に関係の深いホルモンでしたね。
副甲状腺ホルモンが働くところはたくさんありましたが…
ビタミンDやカルシウムの働きを思い出せば、
うまく整理できましたよ。
ビタミンDは骨芽細胞の応援とカルシウムの吸収促進。
カルシウムは骨に貯められるだけでなく、
細胞の働き(筋収縮や神経細胞の情報伝達)に必要でしたよね。
そんな副甲状腺ホルモンが不足したときも、
骨が弱くなってしまう可能性があります。
だからテリパラチド(フォルテオ)などの
副甲状腺ホルモン製剤の出番です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058823
テリパラチドはヒト副甲状腺ホルモンの
N末端側の切れ端(フラグメント)を、
遺伝子組み換えで増やしたものです。
「ヒト副甲状腺ホルモンの一部分!」と
思ってくれればオーケーですよ。
「骨折危険性の高い骨粗鬆症」に使うことで、
ビタミンDの働きを促進し、間接的に骨を強くしてくれます。
…残念ながら、結構禁忌が多いですよ。
次回、禁忌のおはなしをしますからね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)