2 「健康」とは:(2)「よく生きる」ために(1)
一番下の(土台となる)欲求がみたされ、
「生きている」ことが可能になりました。
でも、これだけでは不十分ですね。
次の段階として「(動物として)よく生きる」ために何が必要か考えてみましょう。
ここでイメージしてほしいのは、
悪徳ペットショップ(悪徳ブリーダー)での犬や猫の生活。
汚いケージの中で、病気になっているのに放置され、
「死なずに繁殖できればそれでいい」。
…これでは、「(動物として)よく生きる」とはいえません。
衛生的な、清潔な環境が「(動物として)よく生きる」ためには必要です。
清潔には「きもちいい」という心理的側面もありますが、
何よりも感染を引き起こさない(病気にならない)ことにつながります。
土壌や水、空気…これらの状態いかんによって、
感染や病気は容易に引き起こされてしまいますね。
微生物学で勉強する感染経路の話であり、公害病の話でもあります。
特に日本の四大公害(水俣病・新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく)は、
環境がヒトに与える影響を考える入門資料としてもってこいです。
生命は奪われなくとも、
清潔な環境が維持できない結果の一例をしっかり学んでください。
そこまで極端な例でなくとも、
「環境」は「(動物として)よく生きる」ために重要な役割を果たします。
例えば梅雨のようなじめじめした環境では、「不快」を感じる人が増えます。
逆に(日本では体験する機会は少ないかもしれませんが)
乾ききった環境下では皮膚や粘膜が痛くなり、やはり「不快」です。
また熱い夜は寝苦しくて眠りが妨げられ、
寒い夜は凍えてしまいやはり眠りが妨げられます。
動物一般のように毛皮がない以上、
ヒトでは衣服や寝具に温度・湿度調節を頼ることが多くなります。
もちろん衣服等には「自分らしさ(自己実現)」の側面もありますが、
その大前提にあるものは「(温度・湿度等の)環境を整える」側面です。
快適に過ごすために、素材の特性
(綿は吸水・吸湿、保温に優れ、蒸発も早い等)を理解しておく必要がありそうです。
次回、ヒトの環境に欠かせない「住居」についても確認しますよ。