12 血液と免疫のおはなし(8)
今回は血漿タンパク質のおはなしです。
血漿の中にはいろいろなものが溶け込んでいて、
その中にはタンパク質も含まれています。
特に「アルブミン」と「グロブリン」は
大事なタンパク質ですよ。
アルブミンは血液の浸透圧を保つ働きがあります。
水に溶けないものをくっつけて
血液中を移動することから、
「輸送タンパク」に分類されますね。
食事からとるタンパク質が不足したときのために
体の中にタンパク質を
プール(貯蔵)しておく形でもあります。
だからダイエット等で
タンパク質(肉類等)を食べないと、
血液中のアルブミンがどんどん減っていきます。
その結果、血管内から血管外(組織)に
水分がしみ出し…「むくみ」ます。
変な食事制限のダイエットをすると、
体重は下がったのに
体中がむくんですっきりしないのはこのためです。
もう1つの「グロブリン」は、抗体の素材。
グロブリンにもいろいろ種類がありますが、
γ(ガンマ)グロブリンが主に抗体になってくれますよ。
抗体には5つの種類があります。
異物が体の中に最初に入ってきたときに働くのがIg-M。
侵入者に何が効くのかよく分からないので、
5つ(ものによっては6つ)の
対策を持っている「5量体」です。
最初に異物が体の中に入ってきたときの反応は
「一次応答」と呼ばれます。
一次応答とあったら、Ig-Mの出番ですね。
2回目以降に異物が体の中に入ってきたら、
Ig-Gの出番です。
2回目以降ということは、
どんな対策が効くか分かっているということ。
だから
Ig-Gは対策をする部分は1つ(1量体)しかありません。
その分は数で勝負!
体の中で一番多いのはIg-Gです。
異物侵入が2回目以降なので、
Ig-Gが主役になるときは「二次応答」と呼ばれます。
消化管内や乳汁の中に出るのがIg-A。
対策部位が2つの「2量体」です。
Ig-Aは「分泌型」と呼ばれることもありますよ。
Ig-Aといえば、
母子免疫というキーワードを忘れてはいけません。
お母さんから赤ちゃんに伝わる免疫(抗体)は、
母乳経由のIg-Aと、胎盤経由のIg-Gの2つです。
あと2つはどちらも1量体。
大きさからすれば、
Ig-Gのように胎盤を抜けてもおかしくありません。
でも1章でも出てきた
Ig-Eはアレルギー反応に関係する抗体。
胎盤のところまでやってきそうにはありません。
もう1つのIg-Dは白血球の分化に関係する抗体。
これまた、胎盤付近まで流れてきそうにもありません。
だから「母子免疫はIg-AとIg-G」なのですね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)