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12 血液と免疫のおはなし(8)

2022年6月25日

今回は血漿タンパク質のおはなしです。

血漿の中にはいろいろなものが溶け込んでいて、

その中にはタンパク質も含まれています。

特に「アルブミン」と「グロブリン」

大事なタンパク質ですよ。

 

アルブミンは血液の浸透圧を保つ働きがあります。

水に溶けないものをくっつけて

血液中を移動することから、

「輸送タンパク」に分類されますね。

食事からとるタンパク質が不足したときのために

体の中にタンパク質を

プール(貯蔵)しておく形でもあります。

だからダイエット等で

タンパク質(肉類等)を食べないと、

血液中のアルブミンがどんどん減っていきます。

その結果、血管内から血管外(組織)に

水分がしみ出し…「むくみ」ます。

変な食事制限のダイエットをすると、

体重は下がったのに

体中がむくんですっきりしないのはこのためです。

 

もう1つの「グロブリン」は、抗体の素材。

グロブリンにもいろいろ種類がありますが、

γ(ガンマ)グロブリンが主に抗体になってくれますよ。

抗体には5つの種類があります。

異物が体の中に最初に入ってきたときに働くのがIg-M

侵入者に何が効くのかよく分からないので、

5つ(ものによっては6つ)の

対策を持っている「5量体」です。

最初に異物が体の中に入ってきたときの反応は

「一次応答」と呼ばれます。

一次応答とあったら、Ig-Mの出番ですね。

 

2回目以降に異物が体の中に入ってきたら、

Ig-Gの出番です。

2回目以降ということは、

どんな対策が効くか分かっているということ。

だから

Ig-Gは対策をする部分は1つ(1量体)しかありません。

その分は数で勝負!

体の中で一番多いのはIg-Gです。

異物侵入が2回目以降なので、

Ig-Gが主役になるときは「二次応答」と呼ばれます。

 

消化管内や乳汁の中に出るのがIg-A。

対策部位が2つの「2量体」です。

Ig-Aは「分泌型」と呼ばれることもありますよ。

Ig-Aといえば、

母子免疫というキーワードを忘れてはいけません。

お母さんから赤ちゃんに伝わる免疫(抗体)は、

母乳経由のIg-Aと、胎盤経由のIg-Gの2つです。

 

あと2つはどちらも1量体。

大きさからすれば、

Ig-Gのように胎盤を抜けてもおかしくありません。

でも1章でも出てきた

Ig-Eはアレルギー反応に関係する抗体

胎盤のところまでやってきそうにはありません。

もう1つのIg-Dは白血球の分化に関係する抗体

これまた、胎盤付近まで流れてきそうにもありません。

だから「母子免疫はIg-AとIg-G」なのですね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)