5 タンパク質のおはなし(4)
タンパク質には立体構造が大事。
これ、前回の変性で分かりましたね。
だから、立体構造を保つ含硫アミノ酸も大事…と
理解できたはずです。
ここからは、
立体構造を活かしたタンパク質の働きのおはなし。
一言に「タンパク質の働き」といっても、
あまりにたくさんありすぎて
説明しきれるものではありません。
だから、ここでは「酵素」についておはなしします。
酵素というのは、
私たちの体の中で化学反応を起こしてくれるもの。
…とはいえ、「化学反応」の響きだけで
「そんな難しいもの勉強したくない!」といいたくなりますね。
だから、
「酵素は私たちの体の中のはさみ(とのり)だ!」でいいです。
つながっているところを切る。
必要なところをくっつける。
酵素がしている仕事は、切ってつなげることです。
酵素、難しいものじゃありませんね。
一番イメージしやすいのは消化酵素でしょう。
糖質代謝のところで
「アミラーゼ」や「二糖体分解酵素」がいましたね。
いずれも、グリコシド結合を切って
糖を小さくしてくれる働きがありました。
なんだか親しみが出てきたところで、酵素の特徴。
酵素は化学反応(切ってつなげる)を担当しますが、
そこには至適温度・至適pH・特異性があります。
至適温度というのは、一番よく働く温度があるよ!ということ。
これ、一般的な化学反応との大きな違いです。
一般的な化学では、温度は高ければ高いほど反応が進みます。
酵素は、人体深部温(37~38℃)で一番よく反応します。
…もっとも、これは人体内の酵素について説明しているからであって。
温泉の岩で生活する細菌の酵素は
至適温度が100℃を超えるものもいますよ。
至適pHというのは、
一番よく働けるpHがあるよ!ということですね。
…pHについてもここで話し出すと大変なことになるので、
「酸性・アルカリ性のおはなし」まで後回し。
ここでは「よく働くにはぴったりの酸性度合い、
アルカリ性度合いがある」
これで十分です。
でも具体例は覚えておいた方がいいですね。
タンパク質消化酵素には
ペプシンとトリプシンというものがあります。
ペプシンの至適pHは1~2、
トリプシンの至適pHは8~9です。
…結構違いますね。
ペプシンは酸性じゃないと本気でない、
トリプシンはアルカリ性じゃないと本気でない、という意味です。
これは2つの消化酵素が働く場所に関係しています。
それはタンパク質代謝のところになったらおはなししますね。
残った特異性は次回に。
これを応用したものが「薬」ですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220326更新)