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10 脳神経系のおはなし(1)中枢の基本構造と血管異常(6)

2021年7月3日

B 脳梗塞

脳梗塞とは、血管が詰まった結果、

脳の細胞が死んでしまったもの。

脳卒中の3/4は、脳梗塞によるものですね。

「詰まった!」にはいろいろなものが含まれます。

空気も、脂肪もつまる原因ですが…

まずは基本になる血栓を理解しましょう。

 

血栓の原因には心臓由来(心原性)と

動脈系由来(非心原性)があります。

心原性は、心房細動由来の血栓。

なぜ血栓ができるのかについては、

循環器系のところを読み直してくださいね。

非心原性では、

プラーク(粥腫)が関与してくることもあります。

プラークが関係しているものを

「アテローム血栓性脳梗塞」と呼びます。

循環器系の動脈硬化のおはなしで、

「アテローム硬化」がありましたね。

そのアテローム硬化由来の血栓が

脳の太い血管(動脈)で詰まった結果が、

アテローム性血栓性脳梗塞です。

 

つまるところは太い血管だけではありませんよ。

脳の細い血管が何らかの原因で詰まったものを

「ラクナ梗塞」と呼びます。

従来、日本ではラクナ梗塞が多かったのですが、

食生活の変化に伴い

アテローム血栓性脳梗塞の割合が増えてきています。

 

リスク因子は高血圧・脂質異常・糖尿病ですね。

症状は血栓がどこで詰まったかに左右され、

いろいろなものがあります。

一応並べておくと頭痛、めまい、ふらつき、

歩行障害、けいれん、構音障害、失語、

感覚障害、運動障害、意識障害等々。

感覚障害の中には視覚・視野障害が含まれ、

運動障害の中には

運動麻痺・不随意運動等が含まれます。

夜間就寝中に起こりやすく、

数時間から数日で症状が進行していきます。

 

急性期は、意識障害で気道閉塞を起こすことがあるので、

気道を確保。

痰を出せないと低酸素血症になってしまいますから、

嚥下状態の有無を確認しつつ

痰吸引を検討する必要があります。

そして点滴(輸液)は

健側(麻痺を起こしていない方)にしてくださいね。

さもないと、何か異常があったときに

本人からの申告を期待できなくなってしまいますよ。

 

慢性期には再発予防が第一。

動脈硬化に対する対策と、

抗塞栓療法(アスピリン等の薬物療法)が大事です。

アテローム血栓性脳梗塞で合併しうるものは

予防しうるものが大部分。

急性期から、各種予防をスタートです。

筋肉や関節の拘縮、骨粗鬆症等の代謝障害、

肺炎・褥瘡・起立性低血圧や

静脈血栓等の循環障害。

尿失禁や便秘等の括約筋障害、

うつ状態等の心理的荒廃も防ぐ必要があります。