9 呼吸器系のおはなし(1)通り道と赤血球(11)
E 出血による貧血
出血による貧血は、すぐにイメージできますね。
急性は外傷や手術によるもの。
慢性は消化管潰瘍やがん、痔等で起こります。
ここについては脈・血圧2:血管系や、
体温2:上部消化器系などを見直しておいてくださいね。
あとはショックの可能性も忘れてはいけませんよ!
(2)赤血球増加症
今まで、赤血球の数や働きが足りないために
酸素が不足する貧血についておはなししてきました。
反対に赤血球が増えてしまったのが
赤血球増加症です。
本当に赤血球の数が増えるものが「絶対的」、
本当の数は増えていないのに
見かけ上増えたように見えるものが「相対的」です。
絶対的赤血球増加症には、
骨髄の幹細胞が増えたせいで起こる「真性多血症」と、
腫瘍もしくは腎臓のエリスロポエチン亢進による
「二次性多血症」があります。
この2つは、SpO₂を測定すれば分かりますよ。
真性多血症なら、
たくさんある赤血球は働けるはずですから、
SpO₂は92以上のはず。
二次性多血症は、そもそも高地やヘビースモーカー、
COPD等で体内の酸素が足りないことが出発地点。
必死で酸素を運ぶ赤血球を作ろうと
エリスロポエチン産生が亢進します。
だからSpO₂は92を下回り、自覚症状はないとしても
細胞としてはかなり苦しい状態です。
相対的赤血球増加症は、SpO₂は正常(95以上)。
熱傷、下痢、発汗、脱水等で
血液の血漿成分が足りなくなったために、
「赤血球が多くなったように見える」状態です。
これらは全て、原因疾患の治療が一番ですね。
単に赤血球増加だけを見るのではなく、
同時に起こっている
水・電解質異常にも注意してください。
下部消化器系の復習ですね。
熱傷については
末梢神経と皮膚のところでおはなししますからね。