12 各論7:呼吸(中枢・精神):①制吐薬・鎮咳薬(1)
中枢(と精神)のブロックは、
とても広い領域を扱うことになります。
まずは「今まで勉強してきた働きをコントロールする個々の中枢」に
効く薬の紹介から始めましょう。
消化器系の嘔吐中枢に効く制吐剤、
呼吸器系の咳中枢に効く鎮咳薬のおはなしです。
嘔吐が起こる仕組みを簡単に確認。
胃を代表とする消化管粘膜が特定の刺激を受け、
その刺激を感覚神経が嘔吐中枢に伝えます。
嘔吐中枢がその情報をもとに、「吐け!」と命令して、
消化管筋肉の収縮が起こる…これが嘔吐反射です。
「反射」ですから、
受容器→中枢→効果器で起こる一連の動きですね。
だから嘔吐を止めるには、
受容器(にある感覚神経)を邪魔するか、
嘔吐中枢を邪魔することになります。
受容器の感覚神経を邪魔する薬の一例が、
オキセサゼイン(ストロカノン)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054281
胃の運動を抑制しつつ、局所麻酔の役割も果たす
末梢性制吐剤(中枢以外のところに効く嘔吐止め)です。
食道炎や胃炎、胃・十二指腸潰瘍や過敏性大腸炎で起こる
悪心・嘔吐や胃部不快感、疼痛と広く使えますが…。
妊娠・妊娠可能性のある人での安全性は確立されていません。
だから「吐き気がする…妊娠かも…」
なんてときには使えませんよ。
本剤に過敏症のある人には禁忌です。
あと、一か所にとどまるとしびれて(局所の感覚が麻痺)きますので、
水と一緒にすぐに飲み込んでくださいね。
嘔吐中枢を邪魔する薬として、
メトクロプラミド(プリンペラン)を紹介します。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054235
消化管の働きを活発にして、
消化器機能異常による悪心・嘔吐、食欲不振や
腹部膨満感を解消してくれます。
検査や手術後等にも使われますね。
消化器系のところで、
麻痺性イレウスの薬として出てきましたよ。
大事なお薬なので、もう1度一緒に確認しましょう。
禁忌は本剤にアレルギーのある人、
消化管に出血・穿孔や器質的閉塞のある人、
褐色細胞腫疑いのある人。
消化管の働きが活発になる(運動亢進する)と、
消化管に出血等のある人では悪化してしまう可能性があります。
褐色細胞腫があると、
急な昇圧発作が起きる可能性があるので禁忌ですよ。
次回はメトクロプラミドの
併用注意等を確認していきましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230831更新)