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12 各論7:呼吸(中枢・精神):③麻酔薬(6)

2023年10月29日

プロポフォールは麻酔導入だけでなく全身麻酔の維持や、

集中治療中(人工呼吸器を付けているとき)の鎮静にも使います。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051034

本剤にアレルギーのある人には禁忌。

あと、禁忌の欄に「小児」とありますね。

これは海外で人工呼吸器を付けていたときに死亡例が報告されたからです。

その機序(どうしてそうなったのか)が不明なので、

念のために「小児」に使用すること全体を禁止にしているのですよ。

 

妊娠中や妊娠可能性のある人、授乳中の人では

「やむを得ぬ」ときのみの使用だと思ってください。

乳汁の移行や、出生後に児に呼吸抑制等が出てしまいますからね。

 

慎重投与対象は本剤にアレルギーのある人や薬物依存のある人。

肝臓や腎臓に障害がある人や高齢者では、

呼吸・循環作用が抑制されたり(無呼吸や低血圧)、

気が付くまでに必要以上の時間がかかったりします(覚醒遅延)。

 

衰弱した人でも呼吸・循環作用が抑制されやすいため慎重投与対象です。

「ASA」とあるのは、アメリカの麻酔学会による全身状態区分のこと。

ASAⅢは運動不可能ではないものの高度全身疾患、

ASAⅣは日常生活不可能な生命を脅かす全身疾患があるという意味です。

これらの区分は全身麻酔後の覚醒や予後に関係がある…とされますが、

「衰弱状態にあったら、無呼吸・低血圧になりやすい!」で十分ですよ。

 

てんかんの既往歴がある人は、発作の可能性があるので注意。

あと、脂質異常の人では血中脂質濃度が上がる可能性があるために

慎重投与対象になっています。

これは薬の中に脂質が含まれているせいですね。

 

併用注意は、

麻酔・鎮静効果を増強して血圧や心拍出量を低下させる薬たちです。

中枢神経抑制薬

(抗精神病薬のベンゾジアゼピン系や抗てんかん薬のバルビツール系)、

局所・全身麻酔、降圧薬、抗不整脈薬(β1ブロッカー)などですね。

 

「全身麻酔」のお薬として、

ハロタンやデスフルラン(スープレン)に代表される

ハロゲン系吸入麻酔もありますが。

薬の効果域と中毒域があまりに近く、

肝毒性等の副作用が出やすいため、

近年ではあまり使われていませんね。

 

今まで、麻酔のお薬を紹介してきました。

特に全身麻酔は意識を失わせるものなので、

かなり「眠剤(催眠薬)」に近い存在ですね。

次回は、精神の分野とも関係の深い睡眠薬のおはなしに入りましょう。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20231029更新)