12 各論7:呼吸(中枢・精神):⑦統合失調症の薬(1)
精神領域の主役級分野にようやく到着。
ここからは統合失調症に効くお薬です。
統合失調症にはドーパミンの過剰とGABAの不足が
関係していると考えられています。
「リラックスモード担当が不足で神経はずっと興奮モード。
ドーパミン過剰で幻覚・妄想が出ちゃって、
心も体も大パニック!」
まずはこのイメージ、いいですよね。
だから多すぎを減らして、少なすぎをフォローしてあげましょう。
ドーパミン受容体をブロックして、
幻覚や妄想を止める薬がメジャートランキライザー。
GABAの受容体を刺激して不安やけいれんを止め、
筋肉の力を抜き、鎮静・催眠作用のある薬が
マイナートランキライザーです。
「トランキライザー」とは、遮断薬の意味。
「パニックになっている神経の、
過剰な情報伝達を遮断する(止める)」ですね。
メジャートランキライザーは、
統合失調症の陽性症状(幻覚や妄想)を止める薬。
フェノチアジン誘導体の一群が代表ですね。
たくさんありますが…
まずはクロルプロマジン塩酸塩(コントミン)と
ハロペリドール(セレネース)を紹介します。
クロルプロマジン塩酸塩(コントミン)は
フェノチアジン誘導体の一員。
ドーパミン受容体2(D2受容体)を邪魔(遮断)するお薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048728
禁忌はフェノチアジン系化合物やその類似物質に対するアレルギー。
アナフィラキシーショック治療以外でアドレナリンを使っている人や、
昏睡・循環虚脱状態の人、
全身麻酔等の強い中枢抑制影響下の人も禁忌です。
全身麻酔等の強い中枢抑制下では、
その抑制の増強・延長可能性があるから。
昏睡や循環虚脱状態では、その状態が悪化する可能性があります。
アドレナリン使用中が禁忌になるのは、
作用逆転の可能性があるからですね。
アドレナリンの受容体にはαとβがありました。
そのうちα受容体がクロルプロマジン塩酸塩でブロックされます。
本来、アドレナリンは血圧を上げるために使うもの。
それなのにα受容体をブロックされて、
β受容体の作用が優位になってしまうと、
血圧が急降下(作用逆転)!
これでは薬を使う目的と効果が逆になって一大事です。
だからアドレナリンとボスミン(どちらも昇圧薬)は
併用禁止ですよ。
次回はクロルプロマジン塩酸塩の原則禁忌のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20240324更新)