7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(1)降圧薬(1)
前回までのおはなしから分かるように、
血圧は心臓と血液の両側面から見ることができます。
その2つをつなぐのが、血管ですね。
血管は単なる「管(くだ)」ではなく、
平滑筋によって内側の直径を変えることができ、
外膜と内膜(1番内側は内皮細胞)があることは
勉強してきた通り。
そして「血圧の薬」と言ったとき、
圧倒的に多いのは降圧薬(高い血圧を下げる薬)です。
…低血圧は、軽視していい状態なんかじゃありませんよ。
それでも降圧剤が多いということは、
「高血圧になる状態がとても多い現状」がそこにあります。
お薬のおはなしに入る前に、
なぜ高血圧状態を解消する必要があるのかの説明。
高血圧の問題点は、
「単に血圧が高い」ことではありません。
問題なのは、
「血管にかかる力が強い状態が続いている」ことです。
血管はゴムホースのようなもの。
古くなってくると、硬くなり、裂けてしまう恐れがあります。
庭や花壇、洗車用のホースなら、交換すれば済むおはなしです。
でも、体の中にある血管ではそうはいきません。
動脈瘤(瘤:こぶ)が破裂すると、生命の危機です。
圧力がかかりすぎて硬くなってしまっては、
急な水圧上昇があったときにいつ裂けるか分かりません。
心筋梗塞の血栓溶解薬禁忌に
動脈瘤等の血管奇形があったことを思い出してくださいね。
だから、血管に強い力をかけ続けてはいけません。
今のおはなしは
「血管」があるところならどこでも当てはまります。
消化管出血を起こした結果、
酸素が全身細胞まで届かない
貧血やショックを起こすかもしれません。
腎臓では糸球体の「ざるの目」にあたる部分が壊れて、
捨ててはいけない成分までも
尿になって体の外に出ていってしまうかもしれません。
…だから、高血圧を解消する必要があるのです。
解消する必要性が分かったところで、
高血圧の薬のおはなしスタート。
高血圧の原因にはいろいろなものがあります。
血管の内側の直径が狭かったら、
圧力が上がってしまいます。
めぐる血液の量(体内循環量)が多くても、
圧力は上がってしまいますね。
血管の内径を決める交感神経系の働きやホルモン分泌異常は、
もちろん高血圧につながります。
でも自律神経系やホルモンのおはなしは後回しにしましょう。
そして血管平滑筋に効くお薬については、
狭心症のところでおはなししてありますね。
だから次回からは「体内水分量」と
「血管内径の内側にたまるもののイントロダクション」のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221226更新)