7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(2)昇圧薬(1)
低血圧のおはなしに入りますが…。
まず、低血圧の何がいけないのか確認しましょう。
低血圧では、
全身の隅々まで血液がめぐらない可能性があります。
特に臥位(寝た姿勢)以外で、
体の上の方にある頭(脳)に血液が届かないと、大変です。
正常ならば、
ホルモンや自律神経系がコントロールしてくれるのですが…。
ホルモンや自律神経系が正常に働けないと、
脳が血液不足になってしまいます。
それは困るので、薬でフォローしてあげるのです。
低血圧の原因は、
心臓の力不足(心不全)と
ホルモン・自律神経系異常に大別できます。
心不全については、「心臓」のところでおはなしした通り。
ここでは、ホルモン・自律神経系異常に注目ですね。
下垂体前葉機能低下、甲状腺ホルモン不足、
副腎皮質ホルモン欠乏(アジソン病)、
交感神経系がうまく働かない状態…だと血圧が上がりません。
ホルモンについては、
「体温」のところの「内分泌」まであとまわし。
今のところは「甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモンは
主に代謝の関係で血圧を上げることと関係しているぞ」と、
「下垂体前葉の働きが不調だと、
甲状腺ホルモンも副腎皮質ホルモンも出なくなるぞ!」
ということを確認しておきましょう。
生化学や解剖生理学で、
「下垂体はホルモンのコントロールセンター」と
勉強したところです。
さて、あらためてここでのメインは
交感神経系の働きを助けてあげること。
交感神経系の「神経伝達物質を増やす」又は
「神経伝達物質がはまるところを刺激する」お薬のおはなしです。
交感神経系の神経伝達物質はノルアドレナリンとアドレナリン。
ドーパミンも関係していますね。
これ自体を増やす(補充)ことで、血圧が上がりそうです。
代謝されてからノルアドレナリン(の前段階のドーパミンになる)
に代わるドロキシドパ(ドプス)もここに入りますね。
また「間接的に増やす」薬もありますよ。
本来なら、
受容体に一度はまった(取り込まれた)神経伝達物質は、
分解(不活性化)されます。
その「不活性化」を邪魔することで、
「増えた」ような働きをさせるのがアメジニウム(リズミック)です。
受容体を刺激する薬もありますよ。
交感神経系受容体を刺激するエチレフリン(エホチール)。
交感神経系のα受容体だけを
刺激するミドドリン(メトリジン)などです。
お薬の名前だけを先に紹介してしまいました。
次回、禁忌等を確認していきますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221226更新)