7 各論2:脈・血圧(血管):高血圧・低血圧(2)昇圧薬(3)
禁忌のおはなしの続き。
今回は伝達物質そのものが増えるおはなしです。
ドーパミンを経由して
ノルアドレナリンになるのがドロキシドパ。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051765
緑内障に禁忌なことは、もういいですね。
同じ働きをするカテコールアミン製剤を使っている人も、
心臓に対する刺激が強く出すぎて(不整脈)、
場合によっては心停止の危険がありますので禁忌です。
禁忌ではないものの…
「原則禁止
(特に必要があるときのみ!使うなら慎重に!)」に
心室性頻拍が入っているのも同じ理由ですよ。
ハロゲンを含む吸入麻酔剤は、
心筋のノルアドレナリンに対する感受性を高めて、
頻脈や心室細動危険性を上げてしまうので禁忌。
重篤な末梢血管病変(糖尿病による壊死等)がある
人工透析をしている人にも禁忌。
末梢循環障害を悪化させてしまう恐れがあるからですね。
ここはノルアドレナリンの作用が、
受容体の種類(4つ)で変わることを思い出してください。
また、妊婦・妊娠可能性のある人、
授乳中の人にも禁忌。
動物実験ではありますが
子宮血管収縮による胎児仮死状態の報告や、
乳汁移行や児の発育抑制が報告されています。
そして、添付文書を見れば分かりますが
この薬は単なる低血圧の治療だけに使う薬ではありません。
パーキンソン病が
一定程度以上に進んだときに使う薬でもあります。
パーキンソン病は、中枢・精神領域にまたがる病気。
神経伝達物質は、そこに深く関わっているのです。
だから神経伝達物質の量を左右するお薬は、
意外なところに禁忌や副作用が出てきます。
交感神経系の働きを助けるときに、
交感神経系の神経伝達物質を直接いじるのではなく、
受容体レベルでコントロールした方が
「狙ったところだけに効く」薬が作りやすいのですね。
それでも、やっぱり特定の場合は
交感神経系神経伝達物質を直接使うこともあります。
次回はそんな「ボスミン」や「エピペン」のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221226更新)