9 各論4:体温(内分泌系):視床下部・下垂体(3)
ゴナドトロピンについて整理できましたね。
補充するためのお薬として、
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン製剤(HCG)を紹介します。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054196
卵胞刺激ホルモン(FSH)も
黄体形成ホルモン(LH)も分泌コントロールできます。
効能・効果のところに女性だけでなく
男性の生殖器異常が入っていることを確認してください。
卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンは、
男性の性発育にも関係していますからね。
禁忌と警告欄に注意しましょう。
禁忌はアンドロゲン依存性悪性腫瘍(疑い含む)と性早熟症。
どちらもアンドロゲンのせいでかたや腫瘍悪化、
かたや骨の早期成長停止と性早熟化が起こるからです。
アンドロゲンは、男性ホルモンの総称でしたね。
性腺パートのところでもおはなししますが、
前立腺がんの増殖はアンドロゲン依存ですよ。
性早熟化と骨端線閉鎖については、
もう少し先でおはなししますね。
警告は下垂体性の性腺刺激ホルモン製剤(HMG)に
続けて使用してしまうと、
重い卵巣過剰刺激症候群を起こすことがあります。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054645
卵巣過剰刺激症候群は下腹部痛や胸水・腹水から始まります。
放置すると血液凝固能が亢進してしまい、
呼吸困難・血栓・脳梗塞といった症状が出てきますよ。
あとは少々多いですが
慎重投与にも目を通しておいてください。
先程の「ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)補充」と
同様に注意を要するところがありますよ。
卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)といった
性腺刺激ホルモンではなく、
直接性ホルモンを補充するおはなしは、
3つ目の「副腎・性腺」パートでしますからね。
下垂体前葉の性腺つながりでちょっとだけ復習。
消化器系の小腸(麻痺性イレウス)のところで、
メトクロプラミドという交感神経系を邪魔する薬がありました。
交感神経系のドーパミンを邪魔するお薬です。
同様の働きをする抗ドパミン薬と併用してしまうと、
プロラクチン亢進のせいで
無月経・乳汁分泌・女性型乳房が出てしまいました。
この「プロラクチン」は、下垂体前葉ホルモンでしたね。
さらに同じく下垂体前葉から出る
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の不具合は頚部パートに、
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の不具合は
副腎・性腺パートにつながるおはなしです。
関係性をちゃんと意識しておいてくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)