12 各論7:呼吸(中枢・精神):①制吐薬・鎮咳薬(3)
コデインリン酸塩水和物の禁忌は、
本剤が含まれる一群(アヘンアルカロイド)へのアレルギー。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00051062
せきと一緒に呼吸も抑制してしまうので、
慢性肺疾患や重い呼吸抑制状態にある人、
急性アルコール中毒の人も禁忌です。
気管支の分泌抑制もありますから、
気管支喘息の発作中も禁忌。
重い肝障害のある人は
昏睡危険性から禁忌になっていますね。
あと、脊髄での刺激反応性が上がりますから
けいれん状態にある人には禁忌。
出血性大腸菌や赤痢のような激しい細菌性下痢では、
消化管の動きが止まるため
治療期間が長引くために禁忌になります。
これらに対しては「下痢の自浄作用」が一番有効でしたね。
単なる細菌性下痢でも、同じ理由から原則禁忌になりますよ。
禁忌や原則禁忌には含まれていませんが…。
妊娠・妊娠可能性のある人、
授乳中の人は使えないと思っておいてください。
乳汁移行で乳児に呼吸困難や傾眠といった
(モルヒネ中毒)症状が出てしまいます。
また動物実験で催奇形性や出生後の呼吸抑制、
退薬症候群が報告されています。
でも…咳があまりにひどく、
血中酸素濃度が下がりすぎてしまうと
胎児は苦しくてたまりません。
「咳止めの必要性が胎児への悪影響よりも大きいとき
(やむにやまれぬとき)」には
コデインリン酸塩水和物を使うことになりますよ。
授乳は、あきらめてくださいね。
慎重投与対象もたくさんありますが、
禁忌との対応で確認していけば難しくありませんよ。
呼吸抑制の危険があるから、
呼吸機能障害のある人や脳に器質的障害のある人、
ショック状態にある人や衰弱している人、
代謝性アシドーシスの人や甲状腺機能低下症、
副腎皮質機能低下症(アジソン病)の人には慎重に。
呼吸抑制を含む副作用
(無気肺や気管支けいれん、
麻痺性イレウスや錯乱、依存)が出やすくなるので、
肝臓や腎臓の機能異常がある人や高齢者にも慎重に。
けいれん(既往歴を含む)の出る人や、
胆石をはじめとする胆嚢障害のある人にも慎重投与です。
胆道でけいれんが起こると、
胆石発作のような胆汁通過異常が起こる可能性がありますよ。
あとは消化管の動きを止める(消化管運動を止める)ため、
器質的幽門狭窄や麻痺性イレウス、
最近消化管の手術をした人も慎重投与対象になっています。
コデインリン酸塩水和物の連用で、
これらの人に巨大結腸症が出る可能性があります。
巨大結腸症については「中毒性巨大結腸」として、
アウエルバッハ神経叢の欠けや不足による
ヒルシュスプルング病を紹介しましたね。
下痢のロペラミドのところです。
また排尿障害が悪化する可能性があるため、
前立腺肥大による排尿障害や尿道狭窄、
尿管手術後には慎重に…ですね。
あとは薬物依存症の既往歴がある人にも慎重に。
一応、コデインリン酸塩水和物も
「麻薬」グループの一因ですからね。
コデインリン酸塩水和物の併用注意は抗コリン剤。
抗コリン作用による副作用
(便秘や尿閉、麻痺性イレウス)が強く出る可能性があります。
またコデインリン酸塩水和物自体に呼吸抑制作用があるので、
さらに抑制方向を促進する薬と併用すると
大変なことになります。
抗うつ薬の一部、β遮断薬やアルコール、
MAO阻害薬や吸入系麻酔剤
(フェノチアジン系やバルビツール酸系)が注意対象です。
あとは、なぜかワーファリンの作用が
増強されることも覚えておきましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230831更新)