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8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘6)

2023年3月18日

便秘に対しては市販薬も多くありますね。

その大部分は、

植物由来の腸管刺激(かつ、水分吸収を抑制する)成分です。

例えば、ピコスルファート(ラキソベロン)

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057669

大腸までは消化・吸収されませんが、

大腸の細菌がピコスルファートを分解してできたものが

蠕動を亢進し、大腸の水分吸収を邪魔します。

 

禁忌は急性腹症や腸の閉塞(又はその疑い)。

急性腹症は原因究明から。

閉塞(又はその疑い)があるのに腸蠕動が活発化したら、

詰まったところにさらに詰まってしまいます。

手術や検査の前にも使われる薬ですが、

やっぱり原因判明前に使うのは危なそうですね。

 

コーラックやセンナ等も、注意点はほぼ同じです。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J0601003147

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J0601003211

ただ、これらの生薬(植物由来)使用市販薬は、

他の下剤との併用が禁忌になっているものが多いですよ。

ちゃんと添付文書(又は箱の中の「使用上の注意」)に

書いてありますから、

使用前に確認する必要がありますよ。

 

例えば、センナ(薬効成分センノシド)。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065603

腸内細菌で分解されてできたレインアンスロンが

腸蠕動を亢進し、大腸の水分吸収を邪魔します。

 

禁忌の欄に今までの便秘に対する薬の禁忌

(急性腹症、けいれん性便秘、高度硬結便)の他に、

「電解質失調」がありますね。

「(下痢は腸液の大量喪失なので、)

まずは水分(できればミネラルも)補給!」

これ、下痢のブロックの最初に言いましたよね。

便秘が薬のせいで強制的に解消されると、

「下痢をした」のと同じ状態になります。

血液中ミネラルがもともと異常だった人では、

もっと異常が進んでしまう可能性があります。

血液中ミネラルが変になると、

全身いろんなところに悪影響が出る…

これ、特にカリウムやカルシウムについておはなししましたよ。

 

そして原則禁忌のところに

「妊婦・妊娠可能性のある人、授乳中の人」もありましたね。

こちらもヒマシ油同様、子宮収縮促進で流早産のおそれと

乳児に下痢が出たことが報告されています。

妊娠中はホルモンの関係上(黄体ホルモン分泌が多い)、

便秘になりやすくなります。

ついつい市販薬に手を伸ばしたくなりますが…。

そこは勇気をもってかかりつけのお医者さんに相談です。

妊婦・妊娠可能性のある人に相談を受けたときはもちろん、

家族や自分のときにもこのリスクを思い出してくださいね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)