8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘6)
便秘に対しては市販薬も多くありますね。
その大部分は、
植物由来の腸管刺激(かつ、水分吸収を抑制する)成分です。
例えば、ピコスルファート(ラキソベロン)
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057669
大腸までは消化・吸収されませんが、
大腸の細菌がピコスルファートを分解してできたものが
蠕動を亢進し、大腸の水分吸収を邪魔します。
禁忌は急性腹症や腸の閉塞(又はその疑い)。
急性腹症は原因究明から。
閉塞(又はその疑い)があるのに腸蠕動が活発化したら、
詰まったところにさらに詰まってしまいます。
手術や検査の前にも使われる薬ですが、
やっぱり原因判明前に使うのは危なそうですね。
コーラックやセンナ等も、注意点はほぼ同じです。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J0601003147
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_otc?japic_code=J0601003211
ただ、これらの生薬(植物由来)使用市販薬は、
他の下剤との併用が禁忌になっているものが多いですよ。
ちゃんと添付文書(又は箱の中の「使用上の注意」)に
書いてありますから、
使用前に確認する必要がありますよ。
例えば、センナ(薬効成分センノシド)。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065603
腸内細菌で分解されてできたレインアンスロンが
腸蠕動を亢進し、大腸の水分吸収を邪魔します。
禁忌の欄に今までの便秘に対する薬の禁忌
(急性腹症、けいれん性便秘、高度硬結便)の他に、
「電解質失調」がありますね。
「(下痢は腸液の大量喪失なので、)
まずは水分(できればミネラルも)補給!」
これ、下痢のブロックの最初に言いましたよね。
便秘が薬のせいで強制的に解消されると、
「下痢をした」のと同じ状態になります。
血液中ミネラルがもともと異常だった人では、
もっと異常が進んでしまう可能性があります。
血液中ミネラルが変になると、
全身いろんなところに悪影響が出る…
これ、特にカリウムやカルシウムについておはなししましたよ。
そして原則禁忌のところに
「妊婦・妊娠可能性のある人、授乳中の人」もありましたね。
こちらもヒマシ油同様、子宮収縮促進で流早産のおそれと
乳児に下痢が出たことが報告されています。
妊娠中はホルモンの関係上(黄体ホルモン分泌が多い)、
便秘になりやすくなります。
ついつい市販薬に手を伸ばしたくなりますが…。
そこは勇気をもってかかりつけのお医者さんに相談です。
妊婦・妊娠可能性のある人に相談を受けたときはもちろん、
家族や自分のときにもこのリスクを思い出してくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230318更新)