9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(8)
アルドステロンの働き、主役の2つ目はpH調節です。
血液pH(酸性度合い・アルカリ性度合い)の調節は、
肺と腎臓が2大調節臓器。
アシドーシスやアルカローシスが進むと、
生きていけないおはなしは生化学でもしましたよ。
だけど「血液pHだけ」を調節するために
薬を使うことはあまりありません。
アシドーシスやアルカローシスを起こした以上、
何か原因があるはずなのです。
呼吸性なら、肺が二酸化炭素を吐き出しすぎているのか、
逆に吐き出せない状態なのか。
代謝性なら腎臓の調子や腎臓に働くホルモンはどうか。
他にも嘔吐・下痢、糖尿病等でも
アシドーシスやアルカローシスが起こりましたね。
これら原因を突き止めて、対処することが大事。
血液pHだけを薬で無理やり正常域にもっていっても、
原因が解消されないといたちごっこです。
一応、血液pH異常に使われる薬として
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合薬
(ウラリット)を紹介しますね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057695
これ、痛風のときに出される「尿アルカリ化剤」。
痛風の痛みのもと「尿酸塩」を溶かし、
アシドーシスを解消するお薬です。
このお薬は肝臓で代謝されると
HCO₃⁻(重炭酸イオン)に変わります。
これ、生化学でおはなしした
「アルカリ性のもと」でしたね。
血液中にアルカリ性のもとが増えて、
アシドーシスは緩和されます。
アシドーシスが緩和されると、
血管内の尿酸塩結晶が溶けやすくなり、
痛風が少しずつ良くなる…というわけです。
禁忌は泌尿器系感染に使う抗菌薬のヘキサミン使用中。
ヘキサミンの効力が尿のpHに依存しているせいです。
尿のpHが変わると、
ヘキサミンが効かなくなってしまいます。
pHといえば思い出してほしい胃酸に関係する薬も、
併用注意のところにいますね。
胃の制酸薬(水酸化アルミニウムゲル)は、
飲んでから2時間以上、間をあける必要がありますよ。
このように。
pHに注目しただけの薬でも、
意外なところの薬に影響が出てきました。
次回おはなしする「抗アルドステロン薬」では、
一気に禁忌や併用注意が増えますよ!
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)