10 各論5:体温(感染・免疫):⑨自己免疫疾患(2)
関節リウマチは、白血球の攻撃が関節軟骨や滑膜
(滑らかに動くための膜)に向かってしまうもの。
軟骨や滑膜がボロボロになると、
動かすたびに痛みが出てしまいます。
ひどくなると骨の変形も起こり、
関節を曲げられなくなってしまうことも!
まだ早期の関節リウマチに使うお薬がアクタリット。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052244
この薬には消炎・鎮痛効果はありません。
あくまでTリンパ球が滑膜細胞にくっつくことを防ぎ、
白血球を集めて周囲を壊すシグナル
(インターロイキン(IL-1やIL-6)や
腫瘍壊死因子(TNF-α)等)を
出すことを防ぐ(邪魔をする)お薬です。
関節への攻撃が始まらないようにする…そんな役目ですね。
禁忌は妊娠・妊娠可能性のある人と授乳中の人。
動物実験で胎児と乳汁への移行が確認されています。
慎重投与対象には、肝臓と腎臓に障害がある人と
消化性潰瘍のある人が含まれていますよ。
痛みが出てきてしまった…となると、
メトトレキサートの出番です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062735
葉酸の働きを邪魔する抗リウマチ薬で、
中絶薬・抗悪性腫瘍薬でもあります。
「葉酸もビタミンB12と同じく細胞分裂に必要!」と思いだせれば、
薬の働きをイメージできますね。
肝臓と腎臓に重い障害がある人が禁忌なのはいつものこと。
活動性の結核の人が免疫系を弱められては、
症状が悪化してしまうので禁忌。
骨髄抑制状態の人は免疫系が弱くなっていますから、
ここからさらに免疫系が弱まることも禁忌です。
妊娠・妊娠可能性のある人や授乳中の人も禁忌。
動物で母乳への移行や
胎児死亡・先天奇形が報告されています。
さらに胸水や腹水のある人も禁忌です。
これ、メトトレキサートが
胸水や腹水の中にたまって毒性が強く出てしまうから。
腹水は肝障害との関連性が強く思いだしやすい方ですが、
胸水は肝不全以外でも出ることがあります。
ちょっと意識しておいてくださいね。
メトトレキサートは併用注意も多いお薬です。
「分布」の段階で、
血中アルブミンから追い出すことで
メトトレキサートの効果を強くするのは
抗生物質のテトラサイクリンや
抗菌薬のクロラムフェニコール。
「排泄」の段階で(メトトレキサートの腎排泄を邪魔して)
メトトレキサートの効果を強くするのが
抗生物質のペニシリンや尿酸排泄薬のプロベネシド。
非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
腎臓の排泄作用全体を邪魔しますね。
胃酸に関係するプロトンポンプ阻害薬も、
メトトレキサートの血中濃度を上げて効果を強くしますが…
いまいちそのメカニズムは分かっていません。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230603更新)