8 各論3:体温(消化器系):肝胆膵(3)肝臓・代謝異常(3:糖尿病1)
糖尿病は空腹時も高血糖で尿に糖が出るもの。
どうして高血糖だとダメなのか、
どうして尿に糖が出るのかについては
生化学でおはなししてありますね。
そして糖尿病に2つのタイプ(型)があって、
約9割はインシュリン非依存型であることもおはなし済みです。
忘れちゃった人は、ちゃんと読み直しておきましょうね。
糖尿病治療の多くは、運動療法と食事療法から始まります。
4 血糖と糖尿病のおはなし(7)
今までのおはなしで、糖尿病についての理解が深まったはずです。 もうそろそろ、糖尿病の種類について ...
https://5948chiri.com/bioc-4-7/
食事療法のお手伝いをする薬が、アカルボース(グルコバイ)。
二糖を単糖に分解する酵素を邪魔するお薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00001793
単糖まで細かくしないと小腸上皮細胞から吸収できない…
これ、生化学の糖質代謝で勉強しましたよ。
禁忌が結構多いので、確認しておきましょう。
妊婦・妊娠可能性のある人、授乳中の人。
重度の感染症・重い外傷・手術の前後。
重度のケトーシス・糖尿病による昏睡です。
妊婦・妊娠可能性のある人については安全性未確立。
授乳中の人は、乳汁中に移行するからです。
残りは、全部インスリン注射で
すぐ血糖値管理をする必要があるから。
ゆっくり吸収地点でコントロールする暇などない緊急事態です。
あと、併用注意も結構多いですよ。
同じように糖尿病に使う薬との併用は、
過度の低血糖を起こす(効きすぎる!)可能性があります。
また、ホルモン系の薬
(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンなど)も
注意が必要になってきます。
運動療法と食事療法で十分な効果が出なかったら、
飲み薬で膵臓を刺激して、
もう少し多めにインシュリンを出してもらう…でしたね。
それがグルメピリド(アマリール)。
膵臓と、肝臓と、全身の細胞に働くお薬です。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00060728
肝臓に対しては、
糖(グルコース)を血液中に放出しないように働きます。
貯蔵型グリコーゲンの分解抑制と、
糖以外からの糖新生抑制ですね。
全身細胞に対しては、輸送体
(グルコーストランスポーター:ここではGLUT4)を活性化。
結果として細胞に取り込まれる
血糖(グルコース)が増え…血糖値が下がりますね。
こちらのお薬も禁忌がそれなりに多めです。
妊婦・妊娠可能性のある人、授乳中の人。
重度感染症、重い外傷、手術前後。
重度のケトーシス、糖尿病昏睡、IDDM。
下痢や嘔吐等の胃腸障害と、重度の肝臓・腎臓障害です。
先程のアカルボースと共通している部分はいいですね。
IDDMはインシュリン依存型糖尿病。
こちらも経口剤ではなく、インシュリン注射の対象です。
残った胃腸障害と肝・腎障害は
低血糖を起こす危険があるから。
ここについては
インシュリン注射のところでおはなししましょう。
実は経口剤のグルメピリドは見るのが大変なくらい
併用注意のお薬があります。
肝臓の分解担当酵素が、他の多くの薬と共通しているからです。
β遮断薬のプロプラノロールや
中性脂肪分解薬のベザフィブラートの名前もありますよ。
覚える必要なんてありません。
だからこそ、しっかり添付文書を読むようにしてくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230222更新)